”家族”のようにワンちゃんを大切にするブリーダー紹介(大西直子さん)「可愛い」より「健やかに」──イタグレの美しさを10年後の健康につなぐ信念

”家族”のようにワンちゃんを大切にするブリーダー紹介(大西直子さん)「可愛い」より「健やかに」──イタグレの美しさを10年後の健康につなぐ信念

イタグレ

 

イタリアン・グレーハウンドの魅力を一言で表すなら、あの「すっと伸びる前足」と、無駄のない体のラインかもしれません。
千葉県の大西直子ブリーダーは、その“美しさ”に魅せられてブリーディングの道に入りました。

しかし大西さんが語る美しさは、流行や写真映えの話ではありません。
「歩き方って正直で、骨格が良ければ綺麗に歩くんですよ、何もしなくても」。
見た目ではなく、健康で美しさをつくっていく――その思想が、犬舎の空気そのものになっていました。

 

生活の延長にある犬舎「HARMONIQUE(ハーモニーク)」

イタグレ
△犬舎訪問時に、ちょうど広いお庭で日向ぼっこをしていた親犬たち

大西さんの犬舎「HARMONIQUE(ハーモニーク)」は、イタリアン・グレーハウンド専門。
小規模だからこそ「こだわりをもった繁殖と育成」に取り組み、オーナーとは「直接やり取り」をする方針を掲げています。
子犬は巣立つギリギリまで「母犬の愛情と教育」を受け、巣立った後も「親戚のようなお付き合い」を続けていく――その距離感が犬舎の基盤です。

犬舎の印象を決定づけるのは、派手さではなく“暮らし”の設計でした。
取材の中で、大西さんが繰り返し口にしたのは「健康って、全部つながってる」という考え方です。
だからこそ、この犬舎は「犬がどう動くか」「どう歩くか」から逆算されていました。

まず目を引くのが、天然芝のお庭。
理由は明快で、「関節にいいから」です。
硬い地面で滑ったり、爪が引っかかったりするリスクを減らし、のびのび走らせながらも負担を抑える。
イタグレの体に合わせた「足元の選択」が、当たり前のように組み込まれていました。

室内も同じです。
犬たちが歩く場所はすべて絨毯にしています。大西さんは「掃除は大変なんですけど、滑らせるほうが怖い」と話します。

訪問した日、犬たちは騒ぐことなく、落ち着いた表情でそれぞれの場所に戻っていきます。
犬舎というより“暮らしの場”。その静かな安心感が、この犬舎の第一印象でした。

 

“視覚狩猟犬”としてのヨーロピアンタイプのイタグレの魅力

イタグレ
△ラトビアから来たという、真っ黒の被毛が魅力的な親犬の“ゼウス”くん


大西さんが目指すのは、イタグレを「愛玩犬的な可愛さ」に寄せるのではなく、
サイトハウンド=「視覚狩猟犬」としての本来の姿に立ち返った“ヨーロピアンスタイル”のブリーディングです。

イタグレの「すっと伸びる前足」や、無駄のない体の線
――“走るために研ぎ澄まされた美しさ”に心を奪われたことが、大西さんがブリーダーを始めた原点だといいます。

大西さんは、流行の方向性を理解したうえで、あえて距離を取ります。

「一般に、身体の小さいワンちゃんが好まれやすいとは思います。」

それでも次の言葉ははっきりしています。

「だけど、私の目指してるものがそれじゃないので」。
「小さい身体をだけ目指しちゃうと、顔がやっぱ短くなるんです」。

それは犬種としてのあるべき姿から離れていくことでもあり、結果として健康とも距離ができてしまう。
その危うさを、大西さんは穏やかに、でもぶれずに語ります。そして最後は必ずここへ戻ります。

「可愛いだけじゃなくて、健康、健康だよね」。

 

「歩き方って正直」──骨格・環境・検査・歯。全部つながる健康づくり

イタグレ
△インタビュー中、大西さんに抱っこされて嬉しそうな母犬

 

大西さんのブリーディングの基準は明快です。「美しさ=健康」。そして核心が続きます。
「歩き方って正直で、骨格が良ければ綺麗に歩くんですよ、何もしなくても」。
見た目の可愛さではなく、動きで嘘がつけないところを見る。この一点が、すべてのこだわりに通底しています。

服の話も象徴的でした。
イタグレは寒がりと言われ、洋服を着せる飼い主さんも多い印象ですが、大西さんは「過剰に着せる」方向へは進みません。
お願いしているのは「人間が快適に暮らせる室内の温度…そういう場所では裸でさせてください」。
その上で「必要な時に必要な洋服を着せてください」。
寒い日はコートやロンパース、暑い日は虫よけのTシャツ。犬の体を理解して“必要な分だけ”にする。
ここにも「健康って全部つながってる」が息づいています。

食事は、ジビエ系のタンパク質やハーブが入ったドッグフードをとりいれます。
「毛色が黒黒と濃くなる」「毛量が増えた」実感があり採用しています。――結果で語れるところに経験の厚みがあります。

遺伝子検査は「アメリカのラボ」にお願いしています。
理由はデータを多く蓄積しており、項目数も多く精度が高いから。
費用はかかりますが「子供たちの安全に繋がる」選択をしています。
検査を“イベント”ではなく“基盤”として扱う姿勢を端的に表しています。

さらに、長く暮らすための“生活のケア”として、大西さんが強く押すのが歯です。
「健康寿命が長くないと意味がない」。
だから小さいうちから歯に触るトレーニングをお薦めします。
歯ブラシが難しければガーゼからでもいい。
「負けないで続けていれば絶対歯ブラシ使えるようになる」。
飼い主がやるべきことを、具体的な方法まで落として伝えていました。

 

しなやかな美しさは、“犬種らしさ”と“暮らしやすさ”の両立から

イタグレ
△3兄弟の子犬にミルクをあげる母犬の“タバサ”ちゃん

 

大西さんのもとで育つイタグレたちは、明るい子が多いのが印象的です。
細く繊細な見た目から「静かで神経質そう」と想像されがちな犬種ですが、実際に会うと表情が柔らかく、初対面でも過度に身構える様子がありません。
犬舎全体に落ち着いたリズムがあり、その中で犬たちは自然体の“明るさ”を持って過ごしていました。

また、ブリーディングの基準をぶらさないために、大西さんはドッグショーに出る意義を大切にしています。
ショーのためではなく、イタグレという犬種のスタンダードに照らして
「今の自分のブリーディングがずれていないか」を確かめる場として位置づけているのです。
インタビューでも、犬種としての形と健康が地続きであることを丁寧に伝えてくれました。

また、犬たちの雰囲気を決めているのは、犬舎の規模感でもあります。
「HARMONIQUE」は小規模で、一頭一頭に目と手が届く距離で育てられています。
だからこそ、日々の小さな変化に気づける。
体の調子や食欲、表情の揺れにすぐ反応できる。
犬たちの性格は、こうした“毎日の積み重ねを見続ける”飼育のあり方から生まれているのだと感じます。

しなやかな足、サイトハウンドらしいライン、そして一緒に暮らしていく上での安定感。
大西さんのイタグレたちは、犬種らしさを守りながら、家庭に迎えられたあとも「暮らしやすさ」が続くように育てられています。
その結果として生まれるのが、落ち着きの中にある明るさであり、自然と人に寄り添える空気感なのだと思います。

「可愛い」だけで終わらせない情報を、まっすぐ届けるために

イタグレ
△犬舎の入り口には、素敵なイタグレのシルエットの看板が。

 

BreederFamiliesへ参加いただいた理由として、第一に、近年増えているミックス犬の繁殖があります。
「可愛いから」「流行っているから」といった理由だけで掛け合わせが行われることに対して、慎重であるべきだという立場です。
犬種にはそれぞれ“得意・不得意”や体の傾向があり、掛け合わせることで「良いところ取り」になるとは限らない。
むしろ「それぞれの弱さが出てしまう可能性」があり、
健康面のリスクを見落としたまま迎え手に渡ってしまうことが、いちばん怖い。

大西さんは「可愛いより健康」を軸に、
迎える側の理解も一緒に育てていける場として、BreederFamiliesに参加しています。

 

イタグレの美しさを、10年後の健康につなげるブリーディング

イタグレ
△ドッグショーに参加する大西さんと親犬

 

大西直子さんのブリーディングは、イタグレの「すっと伸びる前足」に魅せられたところから始まりました。
しかし、その美しさは“写真の中”だけのものではありません。
「歩き方って正直」。
骨格、環境、食事、検査、歯のケア――すべてを「全部つながってる」と捉える視点が、犬舎にも言葉にも宿っています。

天然芝の庭も、室内の絨毯も、「掃除の手間」より「滑らせる怖さ」を優先する判断も、
すべて“犬の足元”から健康を守る設計でした。
ヨーロピアンスタイルの視覚狩猟犬として犬種らしさを守りながら、家庭犬として健康に暮らせる子を送り出す。
流行に寄せない分、説明は必要になります。
でも大西さんは、難しいことを難しいままにせず、飼い主が明日から実行できる形で伝えてくれます。

イタグレの“美しさ”を、10年後の“健やかさ”に変えるつなげる。
取材後に残ったのは、そんな静かな確信でした。

Breeder Familiesについて

BreederFamiliesのブリーダーを通じて ワンちゃんをお迎えすることが、 ペットをとりまく社会課題の解決に繋がります。

私たちが目指すのは、営利優先の悪徳ブリーダーを減らし、責任と愛情を持つ優良ブリーダーを支援することで、ワンちゃんの福祉が守られる社会の実現。
目の前の子犬だけでなく、親犬や引退犬も大切にされる環境を作り上げ、すべてのワンちゃんに優しいブリーディング環境の普及にむけて活動しています。

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