犬種紹介
著者:吉村貴幸
公開日:2025/05/27/更新日:2025/05/27
シーズーの性格や特徴は?初心者でも飼いやすい!飼い方・注意点も解説

まんまるの瞳とふわふわの毛並みで人気のシーズー。穏やかで人懐っこい性格から、「初めてワンちゃんを飼うならシーズーがおすすめ」と耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際に、性格や体の特徴、生活へのなじみやすさなど、初めてワンちゃんを迎える方にも安心できるポイントが多くあります。
この記事では、シーズーの基本的な性格や特徴に加えて、飼いやすい理由、毎日のケア、飼う前に知っておきたい注意点までを動物福祉の視点から詳しく解説します。見た目の可愛さだけでなく、シーズーの「生きものとしての本質」にも触れながら、一緒に暮らす準備を整えましょう。
シーズーの性格はどんな感じ?

シーズーは穏やかで落ち着いた性格をしており、家族との時間を何よりも大切にします。無駄吠えが少なく、集合住宅でも飼いやすい犬種ですが、少し頑固な面もあるため、しつけは焦らず丁寧に行うことがポイントです。
穏やかで優しい性格
シーズーはもともと、チベットの僧院から中国皇室に献上され、宮廷の愛玩犬として人と深く関わりながら暮らしてきた歴史を持つワンちゃんです。
そのため、人と過ごす時間を好み、常に家族のそばにいたがるような、人懐っこくて優しい性格に育ちやすい傾向があります。
大きな声で吠えたり、他の犬に対して攻撃的になったりすることも少なく、来客にも比較的フレンドリーに接する個体が多いのが特徴です。
小さなお子さんや高齢者がいる家庭でも飼いやすく、セラピードッグとして活躍するシーズーも多いほど、落ち着きと親和性に優れています。
頑固な一面もある
一方で、シーズーは自立心があり、自分のペースを大切にする性格でもあります。気分屋で、気が乗らないときには指示に従わなかったり、動かなくなってしまうことも。
これを「わがまま」と捉えるのではなく、意思表示をしているサインとして受け止めることが大切です。
特にしつけの際には、「言うことを聞かせる」よりも「できたら褒める」「やりたくなる環境をつくる」ことを意識しましょう。感情をくみ取りながら、一貫性のある関わり方が必要です。
しっかりと信頼関係を築けば、シーズーは飼い主の気持ちにとても敏感に反応し、寄り添ってくれるようになります。
シーズーの特徴

コンパクトな体型と美しい毛並みがシーズーの特徴です。外見の可愛らしさだけでなく、飼いやすさにもつながる体のつくりや性質を見ていきましょう。
小型犬で扱いやすいサイズ感
シーズーは体高約20〜28cm、体重4.5〜8kg前後のコンパクトな体型をしており、室内飼いに非常に向いています。骨太でがっしりした体つきですが、体格に比べてあまり多くの運動量を必要としないため、省スペースでの生活にも適応しやすいのが特徴です。
小さすぎず大きすぎない絶妙なサイズ感で、抱っこしやすく、移動や通院の際の負担も少なめ。ペット用カートやキャリーにも収まりやすく、旅行や外出をともに楽しむこともできます。
都市部のマンションや高齢者の家庭などでも非常に人気が高い犬種です。
ふさふさの被毛と大きな瞳が魅力
シーズーの最大の魅力のひとつが、絹のような手触りの長くて豊かな被毛。下毛と上毛の二重構造(ダブルコート)になっており、寒さにもある程度強い体質をしています。
抜け毛は比較的少ないものの、放っておくと毛玉になりやすいため、こまめなブラッシングとトリミングが必要です。
目を引くのは、その大きく潤んだような瞳。感情が表情に出やすく、「目で語る」ようなシーズーのまなざしは、多くの飼い主を虜にしています。
一方で、目の構造上、ホコリや毛が入りやすく、目の病気や炎症のリスクも高いため、ケアを怠らないことが大切です。
シーズーは初心者でも飼いやすい?

シーズーは穏やかな性格で適応力があり、初めてワンちゃんを迎える方にも向いている犬種です。ただし、すべての初心者にとってベストとは限らないため、相性やライフスタイルに応じた検討が必要です。
初心者にも人気の理由
シーズーが初心者に人気の理由のひとつは、刺激に過敏すぎず、安定した気質を持っていることです。突発的に吠えたり噛んだりすることが少なく、飼い主の生活リズムに馴染みやすいため、「犬との暮らしが初めて」という方でも無理なく一緒に過ごしやすい特徴があります。
また、シーズーは環境への適応力も高め。急な来客や引っ越しなどの変化にも、極端にパニックを起こすことは少ない傾向があります。集合住宅や騒がしい家庭でも穏やかに過ごせる個体が多いため、都会暮らしや共働き家庭にも選ばれることが多い犬種です。
さらに、あまり運動量を必要としないため、犬と暮らすことにまだ体力的な不安がある方や、高齢の方にも向いています。「たくさん散歩に行かないとダメなのでは…」と不安な初心者にとっても安心材料となるでしょう。
「すべての初心者に向いている」とは限らない
とはいえ、シーズーがどんな人にも無条件で向いているわけではありません。以下のような点に注意が必要です。
- 被毛のケアに時間がかけられない人には不向き:シーズーは抜け毛こそ少ないですが、毛玉ができやすく、トリミングやブラッシングなどのお手入れにある程度の手間がかかります。「見た目が可愛いから」と迎えても、ケアが追いつかず皮膚トラブルを起こしてしまっては、ワンちゃんも飼い主も辛い思いをします。
- 即効性のあるしつけを求める人には不向き:しつけの習得スピードは個体差が大きいですが、シーズーは「自分の気分を大事にする」タイプも多く、焦りは禁物です。「すぐに覚えてくれるはず」と期待してしまうと、うまくいかないことにイライラしてしまうかもしれません。
- 無表情・無反応に見えて不安になる初心者も:シーズーは控えめな表現をする子も多く、「反応が薄い」「なついてくれてないのでは?」と初心者が不安になるケースもあります。実際はしっかりと人を観察していて、信頼関係が深まるにつれ、静かな愛情表現を見せてくれるようになります。
向いている初心者のタイプとは?
以下のような方は、シーズーとの暮らしを楽しく、穏やかにスタートしやすいでしょう。
- 毎日ある程度の時間をワンちゃんと一緒に過ごせる人
- 生活に大きな変化が少なく、落ち着いた家庭環境の人
- 外見だけでなく、ケアや健康への責任もしっかり考えられる人
- 「犬らしい活発さ」より「癒し系の存在」を求める人
シーズーの飼い方の基本

シーズーとの暮らしでは、被毛ケアと日常のスキンシップがとても重要です。運動量は少なめでも問題ありませんが、その分、日々の健康チェックや食事管理、愛情ある接し方が欠かせません。小さな積み重ねが、ワンちゃんの心身の健康につながります。
毎日のケア(食事・運動・スキンシップ)
シーズーは比較的落ち着いた性格で、激しい運動を必要としません。1日2回、各10〜20分程度の散歩で十分です。朝夕の涼しい時間帯に、のんびり歩いたり匂いをかがせてあげる散歩が理想的です。
運動よりも飼い主との関わりが重要な犬種なので、遊びや声かけ、マッサージなどでしっかり愛情を伝えてあげましょう。
また、肥満になりやすい体質のため、食事量や間食の管理が重要です。シニアになると代謝が落ちやすいため、ライフステージに応じてフードの見直しをしましょう。手作りごはんを検討する場合は、獣医師のアドバイスをもとに栄養バランスを考える必要があります。
さらに、シーズーは皮膚トラブルも起こしやすい傾向があるため、体を触る習慣をつけておくと異変に気づきやすくなります。足裏や脇の下、耳の中など見えにくい部分の観察も忘れずに。
被毛の手入れとトリミング
シーズーの被毛は「ダブルコート」と呼ばれ、抜け毛は少ない反面、毛玉や皮膚トラブルのリスクが高いのが特徴です。週3〜4回のブラッシングが理想で、皮膚までしっかりブラシが通るように、コームやスリッカーブラシを併用するとよいでしょう。
また、目の周りの毛が目に入ると傷の原因になるため、こまめに整えたり、目ヤニは毎日ふき取って清潔を保ちましょう。
月1回ほどのトリミングも必要になります。ペットサロンに依頼する場合でも、「かわいく」だけでなく、「清潔で健康に暮らせるスタイル」にしてくれるかどうかを基準に選ぶことをおすすめします。
トリミングに慣れるためには、子犬のうちから「体を触られる」ことにポジティブな印象を持たせておくことが大切です。
飼う前に知っておきたい注意点

「飼いやすい」と言われるシーズーにも、短頭種ならではの健康リスクや、性格ゆえのしつけの難しさがあります。可愛いだけで選ぶのではなく、適切な知識と準備を持ってお迎えすることが、ワンちゃんの幸せにもつながります。
健康面での注意点
シーズーは短頭種(鼻が短い犬)の代表的な犬種で、呼吸器のトラブルが起きやすい傾向があります。暑さや湿度に弱く、特に夏場は熱中症のリスクが高いため、室温は24〜26℃を目安にエアコンで管理しましょう。散歩も無理せず、日陰や風通しの良い時間帯に行うことが大切です。
また、シーズーは目が大きく出ている構造のため、乾燥・異物混入・外傷のリスクが高くなります。毎日の目の観察とケア(ぬるま湯で湿らせたガーゼなどでのふき取り)を習慣にしましょう。
さらに、皮膚疾患、外耳炎、関節疾患、心臓病などにもなりやすいため、定期的な健康診断やワクチン・予防薬の管理が欠かせません。信頼できる動物病院と日頃から関係を築いておくと安心です。
トイレやしつけに手間がかかる場合も
シーズーは基本的におだやかですが、自分のペースを大事にするマイペースな性格でもあります。そのため、トイレや基本コマンドの習得には時間がかかることも。
トレーニングでは「成功したら褒める」を徹底し、叱るのではなく導くことを意識してください。
また、子犬の時期にしっかりと社会化をしないと、他の犬や音、来客に警戒しやすくなることもあります。人や物に慣れる経験を、無理のない範囲で積ませてあげるのが、安心して暮らせるワンちゃんに育てる鍵です。
どうしてもうまくいかない場合は、専門のドッグトレーナーに相談することも前向きな選択肢。早めに対処することで、ワンちゃんのストレスや飼い主の負担も軽減できます。
まとめ

シーズーは、穏やかで愛情深く、初めてワンちゃんを迎える方にも比較的飼いやすい犬種です。小柄で扱いやすく、無駄吠えが少ないなど、集合住宅でも安心して一緒に暮らせる特徴があります。
一方で、被毛のケアや健康面の注意点、しつけに対する根気も必要です。特に短頭種特有の呼吸器トラブルや目のトラブルは、飼い主が日頃から丁寧にケアすることで予防・早期発見につながります。
「可愛い」だけで選ばず、生涯にわたって責任を持ってお世話できるかをしっかり考えたうえでお迎えしましょう。シーズーは、丁寧に向き合えば向き合うほど、深い信頼と愛情で応えてくれる、かけがえのない家族になります。