【Special Interview】
ファッションモデル・実業家 小野千恵子さん
―「知ること」が犬を「守ること」につながる―
バーニーズ・マウンテンドッグのラウエくんと、スタンダードプードルのロームくん、大型犬2頭と暮らす小野千恵子さん。モデル活動をされながら、犬のライフスタイルブランドの運営や、動物介在教育のボランティア、ペット防災のセミナーなど、犬に関わる多様な活動をされています。インタビューのなかで感じたキーワードは「知ること」ーー小野千恵子さんの想いを伺いました。
▽小野千恵子
ファッションモデル、実業家。大学時代に『JJ』モデルとして活躍し、22歳で元プロサッカー選手の小野伸二さんと学生結婚後、オランダへ渡る。17年間の主婦生活を経て、40歳で『STORY』モデルとして復帰。犬と家族のブランド「LAUW(ラウー)」ディレクター。2人の娘さんは大学生と高校生。
https://www.instagram.com/chieko_0605/
犬との暮らしは「選ぶ」ではなく「出会う」
△バーニーズ・マウンテンドッグのラウエくんと、スタンダードプードルのロームくん
ー今日は、ラウエくんとロームくんも取材に参加してくれています。まずは、2頭と家族になった経緯を教えてください。
犬との暮らしは、オランダで生活していた頃に一頭のジャックラッセルとの出会いから始まりました。当時は犬種を”選ぶ”感覚はなくて、友人から「牧場で子犬が生まれたから連れてきてあげる」と言われてお迎えしました。そんな出会いをしていたので、日本帰国後も「ペットショップで選ぶ」は選択肢にはありませんでした。
コロナ禍を機に「今しかない」「体力のあるうちに」と大型犬を迎える決断をし、バーニーズ・マウンテンドッグのラウエくん(現在5歳)をブリーダーさんからお迎えしました。。
ーブリーダーさんからお迎えされたんですね。Breeder Familiesでは今まで曖昧だった”優良ブリーダーの定義”を、6項目の絶対基準・12項目の総合基準を定め、ブリーダーを評価しています。小野さんのブリーダーさんを選ぶ基準はありましたか?
そういった基準があるんですね!飼い主さんは、繁殖の実態をそこまで分からないと思うので、分かりやすい基準があって素晴らしいと思います。私自身も、ラウエをお迎えした当時はそこまでブリーディングの実態に詳しい訳ではなかったのですが、小規模で手の届く範囲で、一頭一頭犬をケアされているブリーダーさんを見つけてお迎えしました。
その後のロームくん(スタンダードプードル・現在2歳)との出会いは、知人の知人から。「行き場のない子がいて」と相談され、「それなら譲渡先を探します」と協力して、2頭・3頭と決まったけれど、既に生後7ヶ月の大きな子が1頭残ってしまって。「行き場のない子であるなら」と迎えることに。プードルはタイプじゃないかも?と思っていましたが、迎え入れたらすごく可愛かったです(笑)。
ーラウエくんとロームくん、犬種による性格の違いを感じたりしますか?
2頭の性格はまったく違います。バーニーズ・マウンテンドッグのラウエは、本当に穏やか。今日も最初はワン!と少し吠えましたが、今はどこにいるか分からないくらい(*机の下でぐっすり寝ていました)。逆にスタンダードプードルのロームは陽気ですごく元気。ロームがラウエに遊びたく手ちょっかい出すけど相手にされない姿をよく見ています(笑)
ー確かに今の取材中も2頭はそれぞれ過ごし方が違いますね。犬をお迎えして家族に変化はありましたか?
ラウエをお迎えしたときは、子どもが高校生と中学生。思春期の子供たちと、親をつなぐ役割になってくれたのを感じます。ラウエ・ロームのことで私たち親と話すきっかけになったり、リビングで一緒に過ごすきっかけになったり。犬たちと私は一緒に寝ているのですが、子どもも一緒に川の字になって寝たりもします(笑)。
大型犬にもFashionを!が社会貢献につながる
△商品の実物で紹介してくださる小野さん。右からロームくんも商品をチェック!
ー小野さんが立ち上げられた犬のライフスタイルブランド「LAUW(ラウー)」は、「大型犬にもFashionを!」という発想から始まりました。立ち上げの想いを教えてください。
小型犬向けの服は多く市販されていますが、大型犬用は非常に選択肢が少ないので商品を届けたいというベースの想いがあります。ただ、服といっても、LAUWが手がけるのは単なるファッションではありません。「リカバリーDOGウェア」は、リカバリーウエア「ベネクス」とのコラボによる愛犬のためのルームウェア。着るだけで質の高い休養をとることができます。「夏用クールウェア」は、たくさんあるポケットに保冷剤をいれることができ、熱中症を防ぐことができます。
犬にとって”プラスα”がある、着る意味があるように、と考えています。素材や形状、サイズ感など、実際に犬と暮らしているからこそ気づけるニーズを反映させています。かわいいだけじゃなく、“あってよかった”と思えるものをつくりたいです。
△左:「愛犬にも質の高い休養を」リカバリーDOGウェア
https://lauw.jp/△右:Dog emergency bag 犬用防災バックなど役立つ商品展開も
https://lauwtokyo.theshop.jp/items/95829842
ー売上の一部は保護団体や一般社団法人「マナーニ」へ寄付されていますよね。
ブランドを応援してもらう形で、犬を通して優しさが循環する仕組みを作れたらと考えています。一般社団法人「マナーニ」は全国の小学校で動物介在教育を、文部科学省や環境省の後援を得て授業を実施している団体です。 犬とのふれあい学習には、命の温かさを感じ、人にも動物にも優しくできる「心の学び」が沢山つまっているんです。
犬のことを「知る」と、子どもが変わる
△「マナーニ」の命の授業に参加する小野さんとロームくん
https://manani.jp/
ー一般社団法人「マナーニ」に寄付されるだけでなく、ラウエくん・ロームくんと一緒に小野さんはハンドラー(プログラムに沿って犬を誘導する飼い主さん)としても参加されています。活動されているなかで大事にされていることは何ですか?
動物介在教育に参加する介助犬は授業に参加するためのトレーニングを積んできています。ただし、「なんでもいう事を聞く犬」とは違うんです。授業中にわん!って吠えた子がいても、それには犬の理由がある。何を考えて吠えたのか、子どもが”犬のことを知ろうとする”ことが大事。
ー参加されている子どもたちの様子はどうですか?
子どもたちは、授業の最初と最後で全く表情が変わるんです。「犬が怖い」と言ってた子も、最後にはロームに抱きついてきてくれたり。私自身、その様子に心が動いて逆に頂くものの方が大きいと感じるくらいです。
この先、子どもたちが「犬と人間のより良い関係」を作っていってほしいですし、「犬を知らない」まま大人になった時に、犬に酷いことしてしまう人たちを未然に防ぐような活動にもなっていると思います。
犬を知って、犬と人の共生のまちづくりを
△左:2025年4月に一般社団法人「パウリブプラス」を立ち上げたばかり
https://www.instagram.com/pawliveplus/△右:オランダで初めてお迎えしたジャックラッセルテリア
ー小野さんは日頃から動物に関わるさまざまな活動に精力的に参加しています。PAW LIVE Kids、チャリティフリマ、譲渡会、ペット防災の啓発イベントなど、ジャンルも多岐にわたります。この記事を読んでくださる方に、特に伝えたいことは何でしょうか?
これまで様々な活動をしてきましたが、今目指していきたいなと思うのが、「犬と人が共生するまちづくり」です。そのために、つい先日一般社団法人の「パウリリブプラス」を立ち上げたばかり。このインタビューの冒頭にもお話しましたが、私が初めて犬をお迎えしたのはオランダに住んでいた時。オランダではお店・レストラン・交通機関など当たり前に犬がいるんです。そんなオランダで見た共生の光景をつくりたいんです。
ひとつのテーマとして「防災」。大規模災害の多い日本において、ペットとの同行避難が原則とされていても、実際に避難所で受け入れてもらえるかはまだまだ難しい現状があります。オランダでは犬も救助するのは当たり前のこと。それはマナーなどオーナーさんの意識が 高いから、社会も犬との共生を当たり前として受け入れている面があると思います。
犬という家族がどんな時も安心して過ごせるまちづくりを目指すのと同時に、犬と暮らしていない方にも犬の素晴らしさを「知って」いただき、納得と理解を得られないかと考えています。
ミックス犬への違和感、事実を多くの人に知って欲しい
△「LAUW」スタイ・蝶ネクタイをつけてパチリ。織シルク生地はブランドのこだわり。
https://lauwtokyo.theshop.jp/items/68810695
ー私たちBreeder Familiesは、日本のペット業界の課題に向き合い正しい情報を発信し、動物福祉の基準で優良ブリーダーを厳選しています。日本の繁殖の現状について、課題意識などあれば教えてください。
ひどいブリーダーの繁殖現場の崩壊した様子などをニュースなどで見て、そういうことをする人を作りたくないという想いが「マナー二」の命の授業の活動にもつながっています。幼い内から命の尊さを知るということが、ひどいブリーディングのような職につかないのではと。長い目での取り組みにはなりますが。
ブリーディングで私自身怖いなと思っているのは、これはありなの?と思うような掛け合わせのミックス犬です。
ー2024年の人気犬種ランキングでも人気一位がミックス犬でしたね。
そうですよね。大型犬と小型犬のミックスは「どのような掛け算なのかな?」と違和感があります。法的に取り締まってないのかなと思ってしまうくらいです。なので、Breeder Familiesさんの優良ブリーダーの基準の「ミックス犬を繁殖しない」にはとても共感します。
ラウエのバーニーズ・マウンテンドッグもトライカラー(黒色を基本とした3色を持つ模様)を出すために他の犬種と掛け合わせされているみたいで、バーニーズって繁殖が難しい犬種だと知っているのでとても心配しています。
犬を迎えようと考えるすべての人に、“この子はどこから来たのか”を知ってほしいですよね。Breeder Familiesさんからの情報発信、引き続き応援しています!
ー動物に関わるさまざまな活動をされている小野千恵子さん。新たに立ち上げた「パウリブクラス」は「PAW+LIVE」の犬との共生を想像した造語。犬との共生のために、「知ること」が大事だという信念にBreeder Familiesも大共感したインタビューでした。小野千恵子さん、ラウエくん、ロームくん、ありがとうございました!
犬のライフスタイルブランド「LAUW」
https://lauwtokyo.theshop.jp/
一般社団法人マナーニ
https://manani.jp/
一般社団法人パウリブプラス
http://pawliveplus.com/