“家族”のようにワンちゃんを大切にするブリーダー紹介(仁井玲子さん)| 「はなちゃん」から始まった、フレブルファミリーの物語

仁井ブリーダーのフレンチブルドッグ

ワンちゃんを「家族」として迎え入れたい。そう願う人にとって、ブリーダー選びはとても大切な瞬間です。群馬県の自宅犬舎でフレンチブルドッグと共に暮らす仁井さんは、まさにそんな想いに寄り添ってくれるブリーダーでした。一頭一頭に深い愛情を注ぎ、生活のすべてをワンちゃんたちのために整える姿からは、「大切な家族を任せたい」と思える安心感が伝わってきます。今回は、私たちが実際に犬舎を訪ね、お話を伺った様子をお届けします。

 

愛犬「はなちゃん」から始まった物語

はなちゃん
△仁井ブリーダーの原点であるはなちゃん

 

群馬県の静かな住宅街にある自宅犬舎。そこでフレンチブルドッグ専門のブリーダーとして活動しているのが仁井さんです。もともとは愛犬の「はなちゃん」との暮らしから始まり、「この子の子どもを残したい」という純粋な想いが、ブリーダーとしての第一歩となりました。先輩ブリーダーのもとで学び、経験を積みながら、やがて本格的に犬舎を構えることに。

かつてはパート勤務をしていましたが、「フレブルたちと一緒にいたい」という気持ちが強くなり、旦那さんのサポートも受けながらブリーダー一本で歩む決心をされました。

ただし「数を大きく増やすことは考えていない」と言います。実際に一頭一頭をしっかりケアするには、現役は5頭前後がちょうどよいとのこと。規模を追うのではなく、ワンちゃんたちと向き合うための選択でした。

 

ワンちゃんを想う暮らしのすべて

仁井さんの犬舎には、フレンチブルドッグへの愛情が隅々にまで行き渡っています。環境づくり、食事の管理、そして飼い主さんとの交流。どれも「ワンちゃんを家族として大切にしたい」という想いが形になったものです。

犬舎づくりの工夫

リフォームした犬舎
△リフォームした犬舎

 

ワンちゃんたちが快適に暮らせるよう、実家を大幅にリフォーム。畳をフローリングに変え、壁を張り替え、エアコンや換気扇を完備しました。庭にも自由に出入りできるため、自然の空気を感じながらのびのびと過ごせます。

フレンチブルドッグは暑さに弱い犬種のため、特に温度管理には強いこだわりがあり、常に21℃前後をキープ。「夏でも自分は長袖を着て一緒に過ごして、夜は同じ部屋で毛布をかけて眠るんですよ」と仁井さんは笑いながら話してくれました。暮らしそのものをワンちゃんに合わせる姿勢に、家族としての絆が自然に表れていました。

そして、私たちが犬舎を訪れた際、「特別に片付けたりはしていませんよ、いつも通りです」と仁井さんは笑っていました。しかし実際には清潔感があり、毛や汚れが気になることもなく、ワンちゃん特有の臭いもほとんど感じませんでした。仁井さんが日々どれだけ気を配っているかが、自然な形で伝わってきました。

体の中から整える食事

「食事がすべてをつくる」。そう実感したのは、ある子の皮膚トラブルがきっかけでした。かつて別のフードを与えていた時にはアレルギー症状が出ていましたが、フードを見直したことで症状が治まり、健康を取り戻したのです。それ以来、仁井さんは余分な添加物のない栄養価の高いフードを選び抜き、日々の食事に心を配っています。

おやつには手作りの野菜を与えることもあり、子犬たちの体を内側から整える工夫を欠かしません。その姿勢は「愛犬と長く健康に過ごしてほしい」という願いそのものです。

飼い主さんとの温かいつながり

里帰りした子たち
△手作りの服をつけて里帰りした子たち

 

子犬を迎えた後のつながりも大切にしています。毎年、仁井さんは自らデザイン・制作した手作りの洋服を、すべての飼い主さんにプレゼントしています。リクエストに応じてオーダーメイドで作ることもあり、届いた写真を見ながら「この子、こんなに大きくなったんだ」と成長を感じる瞬間が何よりの喜びだと話します。

実際に見学でその洋服を見せてもらうと、丁寧な縫製とデザインの可愛らしさに驚きました。まるで売り物のように完成度が高く、「だからこそ飼い主さんからリクエストが届くのだろう」と納得させられました。

飼い主さんがワンちゃんを連れて里帰りしてくれることも多く、犬舎には久しぶりに再会した母犬と子犬がじゃれ合う微笑ましい光景が広がることもあります。成長した姿を直接見ることができるのは、仁井さんにとっても大きな喜びです。

また、逆に仁井さんが母犬と一緒に飼い主さんの家を訪ねることもあります。そのときは「お母さんだ!」と子犬が駆け寄っていく様子に立ち会えることもあり、その瞬間はまるで親子の再会のよう。そこには血のつながりだけでなく、飼い主さんを含めた“もう一つの家族の輪”が自然と生まれているようでした。

そこには「ワンちゃんを中心にした新しい家族の輪」が広がっており、仁井さんの人柄が自然と人と人をつないでいました。

 

出会った子たちの個性と魅力

ハナちゃんとご対面
△はなちゃんとご対面

 

犬舎で出迎えてくれたのは、仁井さんの原点ともいえる「はなちゃん」。ふわっと駆け寄ってきて、ひとなつっこく甘えてくれました。その後はお気に入りの場所で落ち着いた様子で眠ったり、仁井さんの膝に顔をすり寄せてあまえたり。ときには手作りの服を着ていて、取ろうとすると「いやいや」と可愛らしく抵抗する姿もありました。その仕草のひとつひとつから、家族として愛情いっぱいに育てられていることが伝わってきます。

犬舎の子犬たちは、スタンダードを大切にしながら優良血統を取り入れており、健康で愛らしい性格が魅力です。それぞれが個性豊かで、元気に吠える子もいれば穏やかに寄り添う子もいます。

見学中、ワンちゃんの鳴き声が響くたびに仁井さんが「これは○○ね」と即座に名前をあげていて、その正確さに驚かされました。鳴き声だけで誰かを聞き分けられるのは、一頭一頭を本当に深く理解しているからこそ。愛情をもって日々接している姿が、その瞬間からも伝わってきました。

 

BreederFamiliesに参加した理由

運動場で遊ぶフレブルたち
△運動場で遊ぶフレブルたち

 

「ブリーダーであっても、我が子のように育てる」。その信念を持つ仁井さんは、営利目的ではなく、健康で愛らしいフレンチブルドッグを飼い主さんに届けたいと語ります。だからこそ、一度に抱える頭数は5頭前後が理想。ひとりひとりにしっかりと愛情を注ぐことを大切にしています。

一方で、世の中には環境の整っていないブリーダーや、本来の役割から外れたミックス犬の繁殖を行うところもあることを知り、「ブリーダーファミリーズの理念が広がってほしい」と参加を決意されました。

 

まとめ

見学も通じて感じたのは、仁井さんがフレンチブルドッグを「繁殖する対象」としてではなく、本当に「家族」として接しているということでした。
犬舎の環境、食事への気配り、飼い主さんとの温かなつながり、そして一頭一頭に向き合う姿勢。そのどれもが表面的なものではなく、日々の暮らしそのものに根づいています。

原点となった「はなちゃん」との暮らしから広がったこの犬舎は、巣立った子犬と新しい飼い主さんをも含めた大きな家族の輪へと育っていました。そこには安心と信頼、そして深い愛情が息づいています。

仁井さんのもとから旅立つ子犬たちは、きっとこれからも温もりに包まれ、幸せな犬生を歩んでいくことでしょう。

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