犬種紹介
カニンヘンダックスとは?寿命・性格からミニチュアダックスとの違い
カニンヘンダックスとは?寿命・性格からミニチュアダックスとの違い

つぶらな瞳と短い足、小さな体で一生懸命に歩く姿が愛らしい「カニンヘンダックス」。
同じダックスフンドの仲間であるミニチュアダックスとそっくりですが、実は見た目以上に“性格・体格・健康リスク”などに細かな違いがあります。
この記事では、カニンヘンダックスの意味・歴史・性格・寿命・注意したい病気までを動物福祉の視点からやさしく解説。
これからお迎えを検討している方はもちろん、すでに一緒に暮らしている飼い主さんにも役立つ、長く健康に暮らすためのヒントをお届けします。
カニンヘンダックスとは?その意味と特徴

カニンヘンダックスとは、ダックスフンドの中で最も小さなサイズに分類されるワンちゃんです。
その名の通り、ドイツ語で「うさぎ」を意味する“Kaninchen”に由来し、もともとはうさぎ狩り専用の猟犬として改良されました。
俊敏で知的、そして愛嬌のある表情が魅力の犬種です。
「カニンヘン」とはドイツ語で「うさぎ」
「カニンヘン(Kaninchen)」はドイツ語で「うさぎ」を意味します。
この名前の通り、カニンヘンダックスはウサギの巣穴にも入れるように改良された極小サイズのダックスフンドです。
標準サイズのダックスフンドがアナグマ猟、ミニチュアダックスが小動物狩りを目的としていたのに対し、カニンヘンダックスはより小さな穴に潜り込めるように進化してきました。
そのため現在でも、好奇心旺盛で物陰を探検するのが大好き。
小さな体でも“狩猟犬の血”がしっかり流れているのです。
カニンヘンダックスの歴史
ダックスフンドは17世紀頃のドイツで生まれました。
当時、農村地帯ではアナグマやウサギを追い出す猟が盛んに行われており、そのために作出されたのが「Dachshund(アナグマ犬)」です。
この犬種は、胴が長く短足という独特の体型を持ち、狭いトンネルの中で獲物を追うための身体構造として誕生しました。
時代が進むにつれて、より小さな獲物や狭い穴にも対応できるよう、サイズが段階的に小型化されます。
その結果、
- スタンダードダックス
- ミニチュアダックス
- カニンヘンダックス
という3タイプが誕生しました。
現在では狩猟犬というより、家庭犬・コンパニオンアニマルとして世界中で愛される存在になっています。
カニンヘンダックスの主なサイズ
カニンヘンダックスの特徴は、胸囲30cm以下という明確な基準で区別されます。
体重はおよそ3.2〜3.5kg前後で、成犬になってもとてもコンパクト。
ただし、見た目を小さくするための無理な繁殖は健康に悪影響を及ぼすことがあります。
そのため、健康第一で繁殖されたワンちゃんを選ぶことが動物福祉の観点からも重要です。
カニンヘンダックスとミニチュアダックスの違い

カニンヘンダックスとミニチュアダックスは、どちらも「ダックスフンド」という同じ犬種の仲間です。
そのため顔つきや毛並み、性格の傾向も似ていますが、実際に一緒に暮らすと「小ささ」だけでなく性格の出方・扱いやすさ・健康リスクの違いを実感する飼い主さんが多いです。
それぞれの特徴を理解しておくことで、自分のライフスタイルや家庭環境により合うワンちゃんを選ぶことができます。
サイズの違い
まず一番大きな違いは、やはり体のサイズです。
ダックスフンドは体高よりも体長が長い独特の体型をしていますが、サイズ分類は「体重」ではなく胸囲(きょうい)=胴回りで決められています。
| 種類 | 胸囲の目安 | 体重の目安 | 特徴 |
| スタンダードダックス | 35cm以上 | 約9kg前後 | 猟犬として最も古いサイズ |
| ミニチュアダックス | 30〜35cm | 約4.5〜5kg | 一般家庭でも人気のサイズ |
| カニンヘンダックス | 30cm以下 | 約3.2〜3.5kg | ダックス中で最も小さいサイズ |
カニンヘンダックスはミニチュアよりも一回り以上コンパクトで、抱き上げると「ふわっ」と軽い印象を受けます。
この小ささが愛らしい一方で、骨や関節がとても繊細なため、落下や段差でのケガには特に注意が必要です。
また、胸囲で分類されるため、見た目がミニチュアに近いカニンヘンや、少し大きめのカニンヘン寄りミニチュアも存在します。
ペットショップやブリーダーで迎える際は、「成犬時のサイズの目安」や「両親犬の胸囲」も確認すると良いでしょう。
性格の違い
性格のベースはどちらも明るく社交的で、飼い主に忠実。
しかし、体の大きさや環境適応力の違いから、カニンヘンダックスの方がやや繊細な性格を見せることがあります。
カニンヘンダックスの傾向
- 小さいため、外界の刺激(音・人・他の犬)に敏感
- 神経質な面があり、慣れるまでに少し時間がかかる
- 飼い主に対する依存心が強く、甘えん坊
ミニチュアダックスの傾向
- やや落ち着きがあり、初対面の人や犬にも社交的
- 体が大きい分、自信があり活発
- 独立心がある反面、マイペースな一面も
つまり、カニンヘンは「守ってあげたくなるような繊細さ」、ミニチュアは「元気で遊び好きな安定感」が特徴です。
ただし、どちらも元々は狩猟犬。
小さな体でも好奇心旺盛で、獲物を追う本能(動くものに反応する習性)が残っています。
そのため、しつけと社会化は早めにスタートし、怖がりすぎず自信を持てるように育ててあげることが大切です。
飼いやすさの違い
どちらも室内飼いに適したワンちゃんですが、カニンヘンはより繊細で、丁寧なケアが必要になります。
カニンヘンダックスの飼いやすさポイント
- 小柄なので室内スペースを取りにくく、マンションでも飼いやすい
- しかし、段差やジャンプで骨折のリスクが高い
- 食事量・体温管理に注意が必要(寒がり傾向)
- 寂しがり屋のため、長時間の留守番には不向き
ミニチュアダックスの飼いやすさポイント
- 体がしっかりしており、多少の衝撃にも強い
- 活発で遊び好きなため、子どもがいる家庭にも向く
- 社交的だが、吠え癖がつきやすい面も
また、体が小さい分、カニンヘンダックスの方が体調変化に敏感です。
気温や食事の変化、環境のストレスにも反応しやすいため、季節ごとの体調管理を心がけましょう。
カニンヘンダックスの性格と魅力

カニンヘンダックスは、小さな体に“知性・勇気・愛情”を詰め込んだワンちゃん。
その明るさや甘えん坊な一面、そして意外なほど芯の強い性格が、世界中の愛犬家を虜にしています。
「小さくても堂々としている」——そんなギャップが、この犬種の最大の魅力です。
明るく好奇心旺盛
カニンヘンダックスはとても陽気で、常にワクワクを探しているタイプのワンちゃんです。
新しい環境やおもちゃにすぐ興味を示し、「これなに?」「あっち行きたい!」と目を輝かせます。
もともと狩猟犬として培われた好奇心が今も強く残っており、少しの音や動くものにも反応して駆け寄る姿は、まるで小さな冒険家のようです。
その明るさは、家庭の雰囲気をパッと明るくしてくれます。
家族が落ち込んでいるときも、そっと寄り添いながら小さな尻尾を振って励ましてくれる——
そんな心優しい一面も持ち合わせています。
ただし、好奇心旺盛ゆえのイタズラもつきもの。
小物やぬいぐるみをくわえて遊ぶことがあるため、誤飲防止のためにもお部屋の整理整頓は大切です。
甘えん坊で飼い主に従順
カニンヘンダックスはとにかく飼い主さんが大好き。
その忠誠心は強く、家族と離れることをとても寂しく感じるタイプです。
抱っこされると安心したように体を預け、名前を呼ばれると嬉しそうに駆け寄ってくる姿は、まさに「小さな家族」。
甘えん坊で人懐っこい反面、留守番が苦手な子も多いです。
長時間の孤独はストレスや分離不安を引き起こす可能性があるため、できるだけコミュニケーションの時間をしっかり取ってあげることが大切です。
また、しつけをするときも叱るより褒めるほうが効果的。
「いい子だね」「すごいね」と声をかけられると、嬉しそうに尻尾を振って頑張る姿を見せてくれます。
このように、人との信頼関係を何よりも大切にする性格が、カニンヘンダックスの大きな魅力です。
勇敢で活発な一面
その小さな体からは想像できないほど、勇気と行動力に満ちたワンちゃんでもあります。
元々は狩猟犬として地中の獲物を追っていたため、恐れを知らない芯の強さを持っています。
たとえば、自分より大きな犬に物怖じせず挨拶に行ったり、音に反応して真っ先に確認に走ったりと、「小さな番犬」としての本能が今も息づいています。
この勇敢さは、飼い主にとって心強い存在でもありますが、興奮しやすい場面では吠えやすくなることもあるため、落ち着くトレーニングも意識的に行いましょう。
また、運動を十分に行わないとストレスがたまりやすい傾向があります。
毎日のお散歩(1日2回×20〜30分)や、知育トイを使った遊びで脳を刺激してあげると、心も体も満たされ、穏やかな性格を保てます。
カニンヘンダックスの平均寿命と病気

カニンヘンダックスの平均寿命はおよそ13〜16歳。
小型犬の中でも長寿な犬種で、健康管理がしっかりできていれば17歳以上生きる子も少なくありません。
ただし、胴長短足という特徴的な体型や小さな骨格のため、特有の病気に注意が必要です。
平均寿命
カニンヘンダックスは体のサイズが小さい分、内臓や関節の負担が少なく、長生きしやすい犬種です。
しかし、体が繊細なため、ほんの少しの肥満や段差の衝撃が大きな負担になることもあります。
- 健康寿命を延ばすためには、
- 適正体重(3.2〜3.5kg前後)の維持
- 定期的な健康診断(シニア期は年2回)
ストレスの少ない穏やかな生活環境を意識しましょう。
気をつけたい病気
カニンヘンダックスが特に注意すべき病気は、体型と遺伝的傾向に関係したものが中心です。
ここでは代表的な3つの疾患について、症状と予防策を統一形式で解説します。
椎間板ヘルニア(DM)
胴長短足のダックス系では最も発症率が高い病気です。
背骨の間にある椎間板が飛び出し、神経を圧迫することで痛みや麻痺が起こります。
【主な症状】
- 後ろ足がふらつく・歩き方が不自然になる
- 段差や階段を嫌がる
- 背中を触ると痛がる
- 重度の場合は下半身麻痺になることも
【予防・対策】
- フローリングには滑り止めマットを敷く
- ソファやベッドなどの段差を減らす
- 抱き上げるときは胸とお尻を両手で支える
- 肥満を防ぐ(体重増加は背骨の負担に直結)
👉 日常生活の環境づくりが最大の予防策です。
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
小型犬に多く見られる関節疾患で、膝のお皿(膝蓋骨)がずれて外れてしまう病気です。
カニンヘンダックスは骨が細く、関節が小さいため注意が必要です。
【主な症状】
- 歩行中にスキップのように片足を上げる
- 立ち上がるときに痛そうにする
- 重度になると歩けなくなることも
【予防・対策】
- フローリングで滑らないようにする
- 高い場所からのジャンプや急な動きを避ける
- 肥満を防ぐ(体重が増えると膝に負担がかかる)
- 定期的な健康チェックで早期発見
軽度のうちは生活環境の見直しで改善できます。
早めの対応が大切です。
進行性網膜萎縮(PRA)
遺伝性の目の病気で、網膜の細胞が徐々に萎縮して視力が低下していきます。
初期は夜見えにくくなり、進行すると失明に至ることもあります。
【主な症状】
- 暗い場所でぶつかることが増える
- 明るい場所でも目つきがぼんやりする
- 光に対する反応が鈍くなる
【予防・対策】
- 繁殖前に遺伝子検査(PRA検査)を受ける
- 定期的な眼科検診(年1回)で早期発見
- 室内の家具配置を変えず、生活導線を一定に保つ
- 発症後は強い光を避け、安心できる環境を維持
進行しても、嗅覚や聴覚を活かせば生活の質を保つことができます。
家族が優しく寄り添うことが最良のケアです。
まとめ
カニンヘンダックスは、小さな体にあふれる愛情と勇気を秘めたワンちゃんです。
明るく好奇心旺盛で、家族を笑顔にしてくれる存在である一方、繊細な体を守るためには丁寧なケアが欠かせません。
ミニチュアダックスとの違いを理解し、正しい飼育環境と健康管理を行えば、13〜16歳、あるいはそれ以上の長い時間を、幸せに共に過ごすことができます。
「小さな命を、最後まで大切に育てる」——その気持ちがあれば、カニンヘンダックスはきっと、あなたに一生の笑顔とぬくもりをくれることでしょう。
Breeder Familiesについて
BreederFamiliesのブリーダーを通じて ワンちゃんをお迎えすることが、 ペットをとりまく社会課題の解決に繋がります。
私たちが目指すのは、営利優先の悪徳ブリーダーを減らし、責任と愛情を持つ優良ブリーダーを支援することで、ワンちゃんの福祉が守られる社会の実現。
目の前の子犬だけでなく、親犬や引退犬も大切にされる環境を作り上げ、すべてのワンちゃんに優しいブリーディング環境の普及にむけて活動しています。