犬種紹介
著者:吉村貴幸
公開日:2025/06/23/更新日:2025/06/23
ヨークシャーテリアの性格と飼いやすさは?初心者でも安心の飼い方を解説

ヨークシャーテリアは、宝石のような被毛とコンパクトな体で多くの人に愛される人気犬種です。見た目はぬいぐるみのように愛らしい一方で、実はとてもエネルギッシュで芯のある性格をしています。
本記事では、ヨークシャーテリアの性格や特徴、初心者にも安心な飼い方のポイントを、動物福祉の視点も取り入れて詳しく解説します。
これからヨーキーを迎えたい方、すでに飼っているけれど理解を深めたい方のために、しつけ・お手入れ・健康管理のすべてを丁寧にお届けします。
ヨークシャーテリアの性格とは?

ヨークシャーテリアは、見た目の可愛らしさとは裏腹に、芯の強い性格を持つワンちゃんです。愛情深く、飼い主に一途な一方で、テリアらしい独立心も健在。性格を理解して向き合うことで、信頼関係が深まり、より良いパートナーになってくれます。
活発で好奇心旺盛
ヨークシャーテリアは非常にエネルギッシュで、知らない場所や新しいおもちゃへの興味が強い性格です。
たとえば、部屋の模様替えをするとすぐに確認しに行ったり、おもちゃの中に隠したおやつを器用に見つけ出したりと、その知的好奇心は目を見張るものがあります。
日常生活でも退屈するとストレスが溜まりやすいため、知育玩具や散歩のルートを変えるなど、日々の刺激があると理想的です。
勇敢で独立心が強い
ヨークシャーテリアは、自分より大きな相手に対しても臆さない勇敢さを持っています。これは「テリア気質」と呼ばれ、祖先であるネズミ捕り犬としてのルーツが影響しています。
その反面、自分の意見を強く持つタイプでもあり、指示を聞き流すような頑固さも。指示に従わせるには、威圧よりも信頼関係を築いたうえで、根気よく一貫性をもって接することが大切です。
甘えん坊で飼い主に忠実
独立心がありながら、飼い主への愛情が深いのもヨーキーの魅力です。
飼い主が動くとついて回ったり、膝の上で眠ったりと、スキンシップをとても好みます。
この性質から、ひとりぼっちの時間が長いと不安になり、無駄吠えやいたずらが増えることもあります。留守番が必要な家庭では、お留守番トレーニングや、おもちゃ・音楽を活用して安心できる環境を整えてあげましょう。
ヨークシャーテリアの特徴

ヨークシャーテリアは、単に小さくて可愛いだけではなく、犬種としての独自の魅力を数多く持っています。ここでは、見た目や身体的な特徴を中心にご紹介します。
被毛と毛色の特徴
ヨークシャーテリアの最大の魅力の一つが、絹糸のようになめらかな被毛です。シングルコート(アンダーコートを持たない)で、触り心地は非常に柔らかく、まるで人間の髪の毛のようだと表現されることもあります。
この被毛は成長とともに毛色が劇的に変化するのも特徴です。
子犬の頃はブラックタン(黒と茶)の毛色ですが、成犬になると頭部が明るい金色(リッチゴールド)に、体の背面が青みがかったグレー(スチールブルー)へと変化します。このカラーの変化には個体差があり、色の出方で印象も大きく変わります。
さらに、ヨーキーの被毛はアレルゲンになりにくいとされ、「犬アレルギーが軽度な方」にも比較的選ばれやすい傾向があります(※ただしアレルギーの症状には個人差があるため、慎重な対応が必要です)。
体格と体重
ヨークシャーテリアは超小型犬に分類され、成犬でも平均体重は2〜3kg、体高は15〜23cmほど。日本の住宅事情やマンション暮らしでも無理なく飼いやすいサイズです。
ただし、小柄で軽い体は「扱いが楽」というメリットだけでなく、身体への衝撃に非常に弱いという側面もあります。
たとえば、うっかり踏まれる・ソファから落ちるといった日常のちょっとした事故が、骨折や脱臼といった大けがに繋がりやすいため、小さなお子さんがいる家庭では特に注意が必要です。
また、ヨーキーは他の小型犬に比べて「筋肉質でしなやかなボディライン」が特徴で、適切に育てると美しい立ち姿になります。個体差はあるものの、無理な“極小サイズ”を求める繁殖は健康リスクが高いため、信頼できるブリーダーからお迎えすることが大切です。
顔立ちや表情の魅力
ヨークシャーテリアは、つぶらな瞳と立ち耳、そしてキリッとした表情が印象的な犬種です。毛が目にかかりやすいため、表情が分かりづらくなることもありますが、顔まわりを清潔に保ち、目元を整えてあげると、きりっとした愛らしさが際立ちます。
特にショードッグとして活躍するヨーキーたちは、長く伸ばした被毛を整えて歩くその姿が「歩く宝石」とも称されます。家庭犬の場合は短めのカットにする方も多いですが、どんなスタイルでも凛とした気品と可愛さを併せ持つのがヨーキーの魅力です。
ヨークシャーテリアの飼いやすさ

ヨークシャーテリアは、初心者にも飼いやすいとされる犬種ですが、性格や体の特徴から、しつけやお手入れ、生活環境に一定の配慮が必要です。この章では、「なぜ飼いやすいのか」とともに、「気をつけるべきポイント」も具体的に解説します。
しつけのポイント
ヨークシャーテリアは非常に賢く、人の言葉や雰囲気をよく理解します。基本的なしつけやルールも覚えやすいため、しっかり向き合えばとても飼いやすい犬種といえます。
ただし、テリアらしい自立心の強さや頑固さも併せ持っており、飼い主が甘やかしてしまうと「自分が上」と勘違いしてしまうことも。そのため、次の点を意識することが大切です。
- ルールは一貫して伝える:家族全員で対応を統一することが重要です。たとえば、「ごはんの前はおすわりする」など、家庭内のルールを一つずつ教えていきましょう。
- 社会化を子犬期から進める:警戒心が強くなりすぎないように、いろいろな人・音・犬に慣れさせておくと、将来的に吠え癖や怖がりの防止につながります。
- ポジティブな強化を活用:できたときに褒める・ご褒美を与えるなどの“陽性強化”が効果的です。叱るよりも成功体験を積ませることが、ヨーキーには向いています。
また、トイレトレーニングも初期の重要課題の一つです。ヨーキーは覚えが早いものの、失敗して叱りすぎると委縮してしまうこともあるため、失敗は静かに処理し、成功時にしっかり褒める習慣を。
日常のケアとお手入れ
ヨークシャーテリアは抜け毛が少ないシングルコートで、家庭内に毛が散りにくく掃除は楽ですが、その分、日々のお手入れが重要です。
- 毎日のブラッシング:被毛が細く絡まりやすいため、少なくとも1日1回は優しくブラッシングしましょう。絡まりを放置すると、皮膚炎や毛玉になりやすくなります。
- 月1回以上のトリミング:毛が伸び続ける犬種のため、プロのトリマーによるカットが定期的に必要です。顔回りや足裏は特に清潔を保ちたいポイントです。
- 耳・目・口のケア:ヨーキーは涙やけ・歯石がつきやすい傾向があり、目の周りをこまめに拭いたり、歯磨き習慣をつけることが健康維持につながります。
シャンプーは1〜2週間に1回程度が目安で、皮膚が敏感な子もいるため低刺激の犬用シャンプーを選びましょう。
また、室温管理も重要で、夏は熱中症、冬は冷えすぎに注意し、快適な室温・湿度を保ちましょう。
運動と遊び
ヨークシャーテリアは体が小さいため、「あまり運動は必要ないのでは」と思われがちですが、実際には活発で遊び好きなワンちゃんです。運動不足になるとストレスから吠えや問題行動につながることも。
- 散歩:1日2回、各15〜20分程度の散歩が理想的です。室内だけでは満足できない子も多く、外の刺激に触れることが心の成長にもつながります。
散歩時は段差や他の犬との接触に注意しつつ、歩くペースや距離は愛犬の体調に合わせましょう。
- 室内での遊び:ヨーキーは遊び心が強く、特に頭を使う知育トイやボール遊びを好みます。
留守中も退屈しないように、ローテーションでおもちゃを変える、トリーツを使ったパズル系おもちゃを与えるとよいでしょう。飼い主と一緒に遊ぶ時間を取ることで、信頼関係もより深まります。
- 運動の工夫:雨の日や忙しい日には、廊下での呼び戻し遊びや、ちょっとした障害物を使ったミニアジリティなど、家の中でも動ける工夫をすると無理なく運動不足を防げます。
ヨークシャーテリアの寿命と健康管理

ヨークシャーテリアは小型犬の中でも長寿な犬種として知られています。しかし、長く一緒に暮らすには、年齢や体の特徴に応じた健康管理が欠かせません。この章では、平均寿命やかかりやすい病気、そして健康を維持するために心がけたいポイントを詳しく解説します。
平均寿命と健康上の注意点
ヨークシャーテリアの平均寿命は12〜15年程度とされていますが、適切な飼育環境と健康管理を行えば17〜18歳まで長生きする子も珍しくありません。実際に20歳を超えて生きた記録も国内外で報告されています。
とはいえ、ヨーキーは超小型犬で骨が細く臓器も小さいため、体への負担や病気のリスクが意外と高い犬種でもあります。以下は特に注意したい代表的な健康リスクです。
膝蓋骨脱臼(パテラ)
ヨーキーに非常に多く見られる関節疾患で、後ろ足の膝の皿がずれてしまう病気です。初期は「歩き方がぎこちない」「片足を上げたままにする」といった軽い症状から始まり、進行すると歩行困難になることもあります。
対策としては、
- ソファやベッドに飛び乗らせない
- フローリングに滑り止めマットを敷く
- 小さな段差もステップを使う
など、足に負担のかからない住環境を整えることが大切です。
気管虚脱
ヨーキーのような小型犬に多い呼吸器疾患です。気管が押しつぶされるように変形し、「ガーガー」「ゼーゼー」というガチョウのような咳が特徴的です。興奮や散歩時の引っ張りがきっかけで症状が悪化することがあります。
予防のためには、
- 首輪ではなくハーネスを使って散歩する
- 興奮しすぎないように穏やかな接し方を心がける
など、日常的な配慮が重要です。
低血糖(ハイポグリセミア)
特に子犬期に注意が必要な疾患で、食事間隔が空きすぎると血糖値が急激に低下し、ぐったりする・震える・けいれんを起こすなどの症状が出ます。最悪の場合、命に関わることもあるため早期の対応が必要です。
子犬期は、
- 食事は1日3〜4回に分けて与える
- 少しでも元気がない様子があれば早めに対処
といった点を徹底しましょう。
定期的な健康チェックの重要性
ヨーキーのような小型犬は、日々のちょっとした変化から健康異常を早期発見できるかどうかが寿命に直結します。見た目は元気そうでも、実は心臓や肝臓に負担がかかっていたということも珍しくありません。
年齢ごとの健診のポイント
- 1〜6歳ごろ(若齢〜成犬期):年1回の健康診断(血液検査・便検査・心音チェックなど)で十分。ただし、避妊・去勢手術後はホルモンバランスの変化に注意。
- 7歳以上(シニア期):年2回の健康診断が推奨されます。血液検査だけでなく、レントゲンや超音波検査なども含めて内臓の状態を定期的に確認すると安心です。
予防医療も欠かせない
- ワクチン接種:毎年の混合ワクチン(5種〜8種)や狂犬病予防注射を忘れずに。体調が悪い日は無理せず延期する判断も重要です。
- 寄生虫予防:フィラリア予防(春〜秋)、ノミ・ダニ対策(通年)を習慣化しましょう。散歩中に感染するリスクは予想以上に高いため、油断は禁物です。
飼い主ができる日常のチェック
獣医さんの診察以外にも、日常生活の中で以下の点を観察しておくことで、病気の早期発見につながります:
- 食欲や飲水量の変化
- 呼吸のリズムや咳の有無
- 歩き方の違和感
- おしっこ・うんちの状態
- 体臭・口臭の強さ
- 目や耳の状態(赤み・におい・涙の量など)
気になる変化があったときは、「とりあえず様子を見る」ではなく、早めに動物病院で相談することが命を守ることにつながります。
このように、ヨークシャーテリアの健康管理には「小型犬特有の病気への理解」と「予防・早期発見の徹底」が欠かせません。
健康で長生きしてもらうためには、医療面と生活環境の両輪から支える意識が大切です。
まとめ
ヨークシャーテリアは、その小さな体に驚くほどの個性と魅力を詰め込んだワンちゃんです。好奇心旺盛で勇敢、だけど甘えん坊というギャップに惹かれる方も多いでしょう。
飼いやすい犬種とされる一方で、しつけやケアには一貫した姿勢が求められます。特に被毛のお手入れや健康管理では、日々の積み重ねが大切です。
ヨーキーと心地よく暮らすには、「理解」と「配慮」を持って接することが一番のカギ。
初めての方でも、愛情と知識をもって向き合えば、ヨーキーはきっとあなたの最高のパートナーになってくれるでしょう。