シングルコート犬とダブルコート犬の見分け方とは?代表的な犬種や特徴を解説

トイプードル

これからワンちゃんを迎えたいと考えている方にとって、「シングルコートかダブルコートか」は大きなチェックポイントです。なぜなら、抜け毛の量や日々のお手入れの負担、さらには暮らしやすい環境まで変わってくるからです。

本記事では、シングルコート犬とダブルコート犬の違いや見分け方、代表的な犬種、お手入れのコツを分かりやすく解説します。あなたのライフスタイルに合ったワンちゃん選びの参考にしてください。

 

そもそも犬の被毛構造とは

撫でられる柴犬

犬の被毛は、ただ「毛が生えている」だけではありません。自然環境の中で生き抜くために、非常に合理的な構造になっています。

オーバーコートとは

オーバーコートは、雨風や紫外線から体を守る「天然のレインコート」。一本一本がしっかりしており、多少の汚れや水滴ならはじいてしまいます。たとえば柴犬の背中をなでると、少し硬めの毛がピンと立っているのを感じますが、それがまさにオーバーコートです。

アンダーコートとは

アンダーコートは、まるで高級ダウンジャケットの中綿のような存在。細く柔らかい毛が皮膚の近くにびっしりと生えており、寒い冬でも体温を逃さない工夫になっています。サモエドやシベリアンハスキーなど寒冷地原産の犬種は、このアンダーコートが特に発達しています。

 

シングルコートとダブルコートの違い

換毛期のシベリアンハスキー

同じワンちゃんでも「シングルコート」と「ダブルコート」では暮らしぶりやお手入れの仕方が大きく異なります。ここでは、単なる毛の数の違いではなく、実際に飼ううえでどのような違いが生じるのかを詳しく見ていきましょう。

シングルコート犬の特徴

シングルコート犬は オーバーコートのみを持つ犬種 です。被毛の層がひとつしかないため、毛の生え替わりが穏やかで、常に同じように毛が伸び続けます。

メリット

  • 抜け毛が少ないので掃除が楽
  • 体臭が抑えられやすく、清潔感を保ちやすい
  • 毛が伸び続けるタイプが多いため、好みに合わせたカットが楽しめる

デメリット

  • 断熱効果が弱いため、寒さに弱い
  • 夏の直射日光や乾燥にも比較的敏感
  • 毛玉になりやすく、定期的なトリミングが必要

例えばトイプードルはシングルコートの代表格。換毛期がない代わりに毛が伸び続けるため、定期的にカットしてあげる必要があります。寒い季節はおしゃれな洋服を着せてあげるのも一つの楽しみです。

ダブルコート犬の特徴

ダブルコート犬は オーバーコートとアンダーコートを両方持つ犬種 です。二層構造になっていることで、外敵や気候から体をしっかり守ることができます。

メリット

  • アンダーコートが体温調整を助け、暑さや寒さに強い
  • 外部の刺激から皮膚を守る力が強い
  • 毛並みがふわふわしており、見た目の可愛らしさや豪華さがある

デメリット

  • 換毛期には驚くほど毛が抜け、部屋中が毛だらけになる
  • 抜け毛を放置すると通気性が悪くなり、皮膚病の原因に
  • ブラッシングや掃除の手間が多い

柴犬やゴールデンレトリバーなどはダブルコートの代表格。春と秋には「毛が雪のように舞う」と表現されるほど換毛があり、その光景にびっくりする飼い主さんも多いです。

 

シングルコートとダブルコートの見分け方

3頭の犬

愛犬がシングルコートなのかダブルコートなのかを知ることは、日々のお手入れを考えるうえでとても大切です。ここでは、飼い主さんが自宅でできる判断方法を紹介します。

換毛期の有無で判断する

もっとも分かりやすいのは「換毛期を体験するかどうか」です。

  • ダブルコート:春と秋に“毛の洪水”のように抜け毛が発生します。ブラッシングしても次から次へと毛が取れ、掃除機の出番も増えます。
  • シングルコート:大量に抜ける時期はなく、年間を通して少しずつ抜け毛がある程度です。

例えば柴犬やポメラニアンの飼い主さんは、「春先に家中が毛の雪で覆われる」とよく表現しますが、これは典型的なダブルコートのサインです。

毛質や手触りで判断する

被毛を直接触ると、その違いを感じやすいです。

  • シングルコート:全体的にさらっとしていて均一。毛が柔らかく、カールやウェーブがかかっていることも多い。
  • ダブルコート:外側は少し硬めでゴワゴワ、内側はふわふわの柔らかい毛がぎっしり詰まっている。

コームで毛をすくと、アンダーコートのあるダブルコート犬は“もわっ”と綿のような毛が取れるのに対し、シングルコート犬はそうした毛がほとんど出ません。

見た目だけでは分からない場合もある

ただし、見た目の印象だけでは判断できない犬種もいます。

  • チワワ:スムースはシングル寄り、ロングはダブルコートのことが多い
  • ダックスフンド:毛質の種類によってコート構造が異なる
  • シーズーやプードル:換毛期がなくても毛が伸び続けるため、誤解されやすい

このように、犬種によっては見た目や触感だけでは区別しづらい場合もあるので、ブリーダーや獣医師に確認するのが確実です。

 

シングルコート犬の代表的な犬種

シングルコート犬は抜け毛が少なく、室内で暮らす飼い主さんに人気の犬種が多いです。ここでは代表的な犬種を紹介します。

トイプードル

トイプードル

トイプードルはシングルコート犬の代表格。巻き毛が特徴で、毛が伸び続けるため定期的なトリミングが欠かせません。抜け毛が非常に少ないので、アレルギー体質の人やマンション住まいの家庭にも人気です。知能が高くしつけやすい点も魅力で、初心者の飼い主さんにも向いています。

マルチーズ

マルチーズ

純白の絹のような毛並みを持つマルチーズもシングルコート犬。毛は抜けにくい一方で絡まりやすく、ブラッシングで毛玉予防をしてあげる必要があります。甘えん坊で人懐っこい性格なので、家族に寄り添うパートナードッグとして長く愛されてきました。

ヨークシャーテリア

ヨークシャーテリア

「動く宝石」と呼ばれるヨークシャーテリアは、まるで人間の髪の毛のような光沢のある直毛を持っています。シングルコートなので抜け毛は少なく、毛が伸び続けるためヘアアレンジを楽しめるのも特徴です。小さな体に反して活発で、テリアらしい勇敢さも持ち合わせています。

パピヨン

走るパピヨン

耳の飾り毛が蝶のように広がるパピヨンは、美しい外見と賢さで人気の小型犬です。シングルコートなので抜け毛は少なく、比較的清潔を保ちやすい犬種です。好奇心旺盛で活発な性格から、一緒にドッグスポーツや散歩を楽しみたい方におすすめです。

シーズー

シーズー

シーズーは中国の宮廷犬として愛されてきた歴史があり、長くて美しい毛が特徴です。シングルコートのため抜け毛や体臭が少なく、室内飼育にとても向いています。性格は穏やかで人懐っこく、子どもやお年寄りとも相性が良いのも魅力です。

ビションフリーゼ

ビションフリーゼ

雲や綿菓子のようにふわふわとした白い被毛が特徴のビションフリーゼ。シングルコートなので抜け毛は少なく、アレルギーを持つ家庭でも飼いやすい犬種です。明るく陽気な性格で、家族に笑顔をもたらす存在として人気があります。

 

ダブルコート犬の代表的な犬種

ダブルコート犬は季節ごとの換毛期があり抜け毛が多いものの、気候に強く、被毛のボリューム感も魅力の一つです。

柴犬

走る柴犬

日本を代表する柴犬は、典型的なダブルコート犬。春と秋の換毛期にはごっそりと毛が抜け、ブラッシングが欠かせません。その一方で、暑さ寒さに強く、屋外飼育でも比較的順応できる丈夫さを持ちます。自立心が強く忠実で、日本人にとって馴染み深い存在です。

ポメラニアン

ポメラニアン

ふわふわの被毛で「ぬいぐるみのよう」と形容されるポメラニアンもダブルコート犬です。オーバーコートがライオンのたてがみのように広がり、アンダーコートが体を包み込むため、豪華で可愛らしいシルエットになります。小型犬ながら活発で、家族に強く愛情を示す性格です。

チワワ

走るチワワ

世界最小の犬種であるチワワは、スムースコートとロングコートで被毛の性質が異なります。スムースはシングルコートに近いのに対し、ロングはダブルコートのことが多いのが特徴です。見た目の違いだけでなく、抜け毛の量やお手入れの方法にも影響します。

ダックスフンド

ダックスフンド

胴長短足でおなじみのダックスフンドは、スムース・ロング・ワイヤーと3種類の被毛タイプを持ちます。スムースは比較的シングルに近いですが、ロングやワイヤーはダブルコートの場合があります。活発で遊び好きな性格と合わせて、毛質に応じたケアが必要です。

ゴールデンレトリバー

ゴールデンレトリバー

温厚でフレンドリーな性格から「理想の家庭犬」と呼ばれるゴールデンレトリバー。ダブルコートのため、換毛期には非常に多くの毛が抜けます。定期的なブラッシングを欠かさないことで、美しい被毛を維持しつつ皮膚トラブルを防ぐことができます。大型犬らしい包容力で、世界中で愛されている犬種です。

サモエド

サモエド

「サモエドスマイル」と呼ばれる笑顔のような表情で知られるサモエド。シベリアの寒冷地原産で、厚いアンダーコートを持つ典型的なダブルコート犬です。冬はその被毛で雪の中でも快適に過ごせますが、夏は熱中症になりやすいため、温度管理に特別な配慮が必要です。

 

被毛に合わせたお手入れ方法

犬の抜け毛とブラシ

ワンちゃんの健康と清潔を保つには、被毛タイプに合ったお手入れが欠かせません。お手入れは単に見た目を整えるためだけでなく、 皮膚病予防・快適な生活・愛犬とのスキンシップ にもつながります。ここでは、シングルコート犬とダブルコート犬、それぞれに適したケア方法を詳しく解説します。

シングルコート犬のお手入れのポイント

シングルコート犬は抜け毛が少ない分、「お手入れが楽」と思われがちですが、実際には毛玉になりやすかったり、皮膚が直に刺激を受けやすかったりします。

ブラッシング

  • 頻度:週2〜3回程度が目安
  • 道具:スリッカーブラシやピンブラシ
  • ポイント:耳の裏・脇・お腹など、毛玉になりやすい部分を重点的に

トリミング

  • 毛が伸び続ける犬種(プードル、ヨーキーなど)は月1回〜1.5回が理想
  • トリミングは衛生面の維持だけでなく、可愛らしいスタイルを楽しめる時間でもあります

シャンプー

  • 頻度:3〜4週間に1回程度
  • 皮膚がデリケートなので、低刺激の犬用シャンプーを使用

💡 ワンポイント

シングルコート犬は寒さに弱いため、冬場の散歩には洋服を着せて体温を守ってあげましょう。

 
ダブルコート犬のお手入れのポイント

ダブルコート犬は換毛期の「抜け毛ケア」が最重要ポイント。毛が皮膚に密集するため、手入れを怠ると蒸れや皮膚病の原因になります。

ブラッシング

  • 頻度:通常時は週2〜3回、換毛期は毎日
  • 道具:スリッカーブラシ、ピンブラシ、アンダーコート用のファーミネーター
  • ポイント:毛をかき分けてアンダーコートまで届くようにブラッシング

シャンプー

  • 頻度:月1回程度が目安(換毛期はシャンプー後のドライを徹底)
  • 乾かし残しは皮膚炎の原因になるため、ドライヤーで根元まで乾かすことが必須

換毛期の対策

  • 抜け毛が舞うので、掃除機や粘着クリーナーが欠かせない
  • 外でブラッシングして毛を落とすと、家の中の掃除が楽に

💡 ワンポイント

「暑そうだから」と夏にサマーカットをしてしまうと、紫外線や虫から皮膚を守る力が失われ、逆に危険なことも。ダブルコート犬は 毛を刈りすぎない のが鉄則です。

 

まとめ

ワンちゃんを迎える前に、シングルコートかダブルコートかを理解しておくことはとても大切です。

シングルコート犬は抜け毛が少なく、掃除や体臭対策がしやすいため、マンション暮らしやアレルギーが心配な方におすすめ。ただし寒さに弱いので、冬の防寒対策が必要です。
ダブルコート犬は換毛期に大量の毛が抜けますが、体温調節に優れており、屋外での活動や気候変化にも適応しやすい犬種です。ブラッシングの手間は増えますが、毛並みの美しさや健康な被毛が魅力になります。

犬種ごとに特徴は異なりますが、どちらのタイプも「正しい知識とお世話」で快適に暮らすことができます。あなたのライフスタイルや住環境に合った被毛タイプを選ぶことが、愛犬との幸せな生活の第一歩です。

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