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チワワがなりやすい病気とその予防法!小さな体を守るための症状チェックとケアポイント
チワワがなりやすい病気とその予防法!小さな体を守るための症状チェックとケアポイント

チワワはその小さな体と大きな瞳、そして豊かな表情で多くの飼い主さんに愛されている犬種です。
しかし、その繊細な体の構造から、他の犬種に比べて特定の病気にかかりやすい傾向があります。
特に骨や関節、心臓、気管、脳、そして目や皮膚など、さまざまな部位で注意すべき疾患が存在します。
本記事では、チワワが発症しやすい病気の特徴と症状、そしてご家庭で実践できる予防・ケア方法を、動物福祉の観点から詳しく解説します。
日常の観察と正しい知識によって、愛犬の健康を長く守るための参考にしてください。
チワワがなりやすい病気【骨・関節系】

チワワは体重が軽く骨が細いため、関節や骨に関連する疾患が多い犬種です。少しの段差やジャンプなどでもトラブルが起こることがあるため、注意が必要です。
膝蓋骨脱臼(パテラ)
小型犬に非常に多く見られる病気で、チワワも例外ではありません。膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置からずれてしまうことで、スキップするように歩いたり、足を上げたままにしたりする様子が見られます。
重度の場合は関節が変形したり、慢性的な痛みを引き起こすこともあります。
予防のポイント
- 体重を適正に保ち、関節への負担を減らす
- 滑りやすいフローリングには滑り止めマットを敷く
- 段差を減らし、飛び降りを避ける
これらの対策を行うことで、膝関節への負担を軽減し、発症リスクを下げることができます。
水頭症
脳の内部に脳脊髄液が過剰に溜まる先天性疾患で、チワワのように頭部が丸く小さい犬種でよく見られます。
症状として、頭の膨らみ、ふらつき、歩行困難、視力低下、てんかん発作などが挙げられます。
軽度であれば薬でコントロールできますが、重度の場合は外科的な治療が必要になることもあります。
早期発見のためにも、異常が見られたら速やかに動物病院を受診することが大切です。
泉門開存(ペコ)
チワワの頭頂部には「泉門」と呼ばれる柔らかい部分があり、成長とともに閉じていくのが通常ですが、チワワでは閉じずに残ることがあります。
この状態を泉門開存と呼び、衝撃に弱く、転倒や落下によって頭部の損傷を受けるリスクが高まります。
頭部への衝撃を避けるため、抱き上げるときや遊ぶときには十分注意し、高い場所からの飛び降りを防ぐことが重要です。
チワワがなりやすい病気【脳・心臓・循環器系】

チワワは心臓や気管などの内臓器官も非常に繊細です。年齢を重ねるにつれて、循環器や神経系の疾患が増加する傾向があります。
僧帽弁閉鎖不全症
心臓の弁が正常に閉じず、血液が逆流してしまう病気です。高齢のチワワで特に多く見られます。
初期症状としては、咳が増える、運動を嫌がる、呼吸が荒くなるなどが挙げられます。進行すると肺水腫を起こすこともあるため、定期的な心臓の検査が欠かせません。
気管虚脱
気管が潰れて空気の通りが悪くなる病気です。ガーガーとアヒルの鳴き声のような咳が特徴で、興奮時や運動後に悪化します。
首輪で首に圧がかかると悪化しやすいため、散歩の際はハーネスの使用が推奨されます。体重管理も症状の進行を防ぐために重要です。
てんかん
脳の神経が異常な興奮を起こすことで発作が起こる病気です。全身の硬直、痙攣、意識喪失などが見られます。
発作が起きた場合は、ワンちゃんを安全な場所に移動させ、周囲の物にぶつからないように配慮します。数分以内に治まる場合が多いですが、頻繁に起きる場合は治療が必要です。
低血糖症
特に子犬期のチワワに多く見られる病気です。体が小さいために血糖値が安定しにくく、食事の間隔が長くなったり、ストレスや体調不良があると、低血糖を起こすことがあります。
ぐったりする、震える、意識が薄れる、痙攣を起こすなどの症状が現れたら、すぐに病院を受診してください。
子犬のうちは、食事を1日3〜4回に分けて与えることが予防になります。
チワワがなりやすい病気【眼・皮膚系】

チワワの大きな瞳はとても特徴的で可愛らしい一方で、外的刺激や乾燥に弱く、目の病気が起こりやすい構造をしています。皮膚も薄く敏感なため、日々のケアが重要です。
眼球突出
強い衝撃や外傷によって、眼球が飛び出してしまうことがあります。チワワは目が大きく浅い眼窩構造をしているため、他の犬種より発症リスクが高いです。
眼球が飛び出した場合は、絶対に押さえつけず、濡らしたガーゼなどで保湿し、すぐに動物病院を受診します。
流涙症(涙やけ)
涙が過剰に分泌され、目の周囲が変色する症状です。逆さまつげ、鼻涙管の詰まり、アレルギーなどが原因となります。
毎日清潔なコットンやガーゼで優しく拭き取り、目の周りを清潔に保つことが大切です。
緑内障・白内障
どちらも高齢期に多く見られる目の疾患です。緑内障では眼圧が上昇して目の痛みや充血が生じ、白内障では水晶体が白く濁り、視力が低下します。
早期治療により進行を抑えられる場合もあるため、目の異変を感じたら早めの受診をおすすめします。
角膜炎・結膜炎
目の表面や結膜が炎症を起こす病気で、ゴミや乾燥、細菌感染などが原因となります。目が赤くなる、涙が増える、痒がるといった症状が見られます。
散歩後や外出後に目をチェックし、異常があればすぐに動物病院を受診しましょう。
皮膚疾患(アレルギー性皮膚炎など)
チワワは皮膚が薄く、アレルギーや乾燥による皮膚トラブルを起こしやすい犬種です。痒み、発疹、フケ、脱毛などの症状が出ることがあります。
毎日のブラッシングで皮膚の状態を確認し、アレルゲンを避けた食事や清潔な環境づくりを心がけましょう。
病気の早期発見につながる愛犬の様子

チワワは体が小さいため、病気の進行が早い傾向があります。初期症状が軽微であっても、体調の変化が急速に悪化することがあるため、日常の観察が最も重要な予防行動といえます。
病気のサインは、外見だけでなく「動き方」「呼吸」「食事」「排泄」「行動パターン」などに現れることが多いです。普段の様子をよく知っておくことで、異常に気づきやすくなります。
歩き方や仕草の変化
歩行時の異常は、関節や筋肉、神経に関わる病気の初期サインであることが多いです。
特に膝蓋骨脱臼や椎間板疾患では、スキップするように歩く、後肢をかばう、立ち上がるのを嫌がるといった症状が見られます。
また、泉門開存があるチワワでは、頭部への痛みや圧迫で姿勢が不自然になることもあります。
このような症状が繰り返し見られる場合は、関節や神経の検査を受けることをおすすめします。
咳や呼吸の異常
呼吸の異常は、心臓疾患や気管疾患の早期発見につながる重要なサインです。
ガーガーという乾いた咳は気管虚脱の典型的な症状であり、心臓病の場合は夜間や安静時に湿った咳が出やすくなります。
また、呼吸が早い、胸やお腹の動きが大きい、口を開けて苦しそうに呼吸する場合は、すぐに動物病院で診察を受ける必要があります。
心臓病や呼吸器疾患は進行性のため、定期的な聴診とレントゲン検査による経過観察が重要です。
目やに、涙の増加
目の異常は、角膜炎・結膜炎・緑内障などの早期症状として現れます。
特にチワワは眼球が大きく露出しているため、涙や目やにが出やすい傾向があります。
目やにが黄緑色や茶色の場合は感染の可能性があり、片方の目だけに異常が出ている場合は局所的な炎症や外傷が疑われます。
光に対してまぶしがる、目を細める、頭を壁に押しつけるような行動も眼圧上昇のサインであることがあります。
食欲や飲水量の変化
食欲や水の摂取量の変化は、消化器・腎臓・ホルモン系の疾患に関連することが多いです。
食欲不振は胃腸障害や口腔トラブル、痛みなどが原因の場合があります。
一方で、飲水量が増える場合は糖尿病、腎臓病、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)などの内分泌疾患が疑われます。
1日の飲水量が体重1kgあたり100mlを超える場合は、多飲のサインと考えられるため、早期に検査を受けることが望ましいです。
行動や性格の変化
普段より動かない、隅に隠れる、抱っこを嫌がるなどの行動変化も、痛みや体調不良のサインである場合があります。
また、てんかんや脳疾患がある場合は、徘徊やぼんやりした様子、突然の興奮など神経的な行動変化が見られることもあります。
「少し違う」と感じた段階で、記録を取りながら早めに受診することが、重症化を防ぐ最善の方法です。
チワワの健康を守るために飼い主ができること

チワワは非常に小さな体でありながら、心臓や関節、神経、皮膚など多くの臓器に繊細な特徴を持っています。
健康を維持するためには、予防・環境整備・定期的なチェックの3つを柱として取り組むことが重要です。
体重管理と適切な食事
肥満は、膝蓋骨脱臼や心臓病、気管虚脱など、チワワに多い病気のリスクを高めます。
チワワの理想体重は個体差がありますが、肋骨が軽く触れる程度の体型が目安です。
高カロリーなおやつの与えすぎを避け、動物病院で推奨されるフードを選ぶことが望ましいです。
また、成犬と高齢犬では必要なエネルギー量が異なるため、ライフステージに合わせた栄養設計が必要です。
食事管理のポイント
- 高タンパク・低脂肪のフードを選ぶ
- おやつは1日の総カロリーの10%以内に抑える
- 消化器に優しい小粒タイプを選ぶ
- シニア期には関節ケア成分(グルコサミン・コンドロイチンなど)を取り入れる
関節に負担をかけない生活環境
チワワの関節疾患の多くは、生活環境に起因することが多いです。
滑りやすいフローリングでは関節に負担がかかり、膝蓋骨脱臼を悪化させる可能性があります。
フローリングには滑り止めマットを敷き、ソファやベッドの上り下りにはステップを設置しましょう。
また、段差や階段の昇り降りを避けることも効果的です。
関節への負担を最小限に抑えることが、長期的な健康維持につながります。
適度な運動とストレス管理
適度な運動は筋力を保ち、関節や心臓の健康を維持するうえで重要です。
ただし、過度な運動や長時間の散歩は小型犬にとって負担となる場合があります。
1日2回、15〜20分程度の穏やかな散歩を目安にし、気温が高い時間帯を避けて行いましょう。
また、ストレスは免疫力低下の原因となるため、静かで安心できる環境づくりも大切です。
定期的な健康診断を受ける
チワワは外見上元気に見えても、内臓や心臓に異常を抱えている場合があります。
1歳を過ぎたら年1回、7歳を超えたら年2回の健康診断を受けることが理想です。
血液検査・尿検査・レントゲン・心エコー検査などを組み合わせることで、初期の異常を見つけやすくなります。
特に注意すべき定期検査項目
- 心臓(僧帽弁閉鎖不全症の早期発見)
- 気管(気管虚脱の進行度確認)
- 血糖値(低血糖・糖尿病のチェック)
- 眼圧(緑内障の早期発見)
- 皮膚(アレルギーや感染症の確認)
定期的な健康診断は、寿命の延伸だけでなく、生活の質(QOL)を保つための大切な習慣です。
まとめ
チワワは非常に小さく愛らしい存在である一方、体のつくりが繊細で、骨格や内臓、皮膚などに特有の疾患を抱えやすい犬種です。
しかし、飼い主が日常の小さな変化に気づき、早期に対処することで、重症化を防ぎ長く健康に過ごすことが可能です。
肥満防止のための体重管理、関節に優しい環境づくり、適切な食事や運動、そして定期的な健康診断を行うことが、チワワの健康維持に直結します。
愛犬の健康を守る最も大切なポイントは「観察」「予防」「継続」です。
日々のケアを重ね、チワワが安心して暮らせる環境を整えることが、最良の動物福祉につながります。
Breeder Familiesについて
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