犬種紹介
著者:吉村貴幸
公開日:2025/04/25/更新日:2025/04/25
ポメラニアンの抜け毛はすごい?毛が抜ける原因や換毛期の対策方法

ポメラニアンは、ふわふわで愛らしい見た目が魅力的な小型犬です。しかし、その美しい被毛には「抜け毛が多い」という悩みもついてきます。実際、ポメラニアンは被毛の構造や換毛期の影響で抜け毛が目立ちやすい犬種です。ですが、適切なお手入れをすることで、抜け毛の影響を最小限に抑え、快適な生活をサポートすることができます。
この記事では、ポメラニアンの抜け毛が多い理由や、季節ごとの抜け毛の特徴、換毛期の対策法を詳しく解説します。初めてポメラニアンを飼う方はもちろん、すでに一緒に暮らしている方も、日々のケアで抜け毛とうまく付き合うためのポイントを見つけてください。
ポメラニアンの抜け毛はすごい?本当に多い?

ポメラニアンは抜け毛が多い犬種として知られていますが、その印象は本当なのでしょうか?
実際には、被毛の構造や換毛期の影響など、抜け毛が多く感じられる理由があります。ただし、正しい知識とお手入れをすれば、過度に心配する必要はありません。
ポメラニアンの抜け毛が多いと言われる理由
ポメラニアンは「ダブルコート」と呼ばれる二重構造の被毛を持っており、特に内側のアンダーコートが非常に密集しています。このアンダーコートは季節の変わり目に大量に生え変わるため、換毛期になるとごっそりと毛が抜け落ちるのが特徴です。
また、ポメラニアンの毛は細くて軽いため、空気中を舞いやすく、床や衣服などあちこちに付着しやすいという性質もあります。そのため、「部屋中が毛だらけになってしまう」と感じる飼い主さんも少なくありません。
しかし、これは健康な証でもあり、日々のブラッシングなどでコントロールできる範囲です。
むしろ抜け毛の量を把握することで、ワンちゃんの健康状態に気づく手がかりにもなります。
ポメラニアンの被毛の特徴

ポメラニアンの特徴的なふわふわの見た目は、実は「ダブルコート」と呼ばれる二層構造の被毛によって成り立っています。見た目の美しさだけでなく、体温調節や外部の刺激から身を守る大切な役割も担っています。
ポメラニアンの被毛は、外側の「オーバーコート(上毛)」と、内側の「アンダーコート(下毛)」の2層で構成されています。
- オーバーコートは、やや硬めで真っ直ぐな毛。雨や汚れ、紫外線といった外部の刺激からワンちゃんの体を守る、いわば「防水コート」のような役割があります。この上毛があることで、ポメラニアンは風や寒さにもある程度強くなっています。
- アンダーコートは、ふわふわとした綿毛のようなやわらかい毛で、保温性に優れており、寒い季節に体温を逃さないようにする働きがあります。この毛が特に密集しているため、換毛期には一気にごっそり抜けることがあります。
このダブルコート構造のおかげで、ポメラニアンは丸くてモコモコとしたシルエットになり、見た目の愛らしさが際立っています。しかしその分、抜け毛の量も多く、特にアンダーコートは絡まりやすく毛玉になりやすい性質があるため、日頃のお手入れがとても大切になります。
また、湿気や熱がこもりやすい構造でもあるため、ブラッシングを怠ると皮膚トラブルの原因になることも。
被毛の構造を理解したうえで、正しいケアをしてあげることが、ワンちゃんの健康にもつながります。
ポメラニアンの毛が抜ける主な原因

ポメラニアンの抜け毛には自然な理由と健康面から注意が必要な理由があります。ここでは4つの主な原因と、その抜け毛の特徴を紹介します。
年2回の換毛期が抜け毛のピーク
春と秋には、気温の変化に対応するため、アンダーコートが一気に抜け落ちます。これが「換毛期」です。春には冬毛が、秋には夏毛が抜け、次の季節に備えた新しい被毛に生え変わります。この時期は、通常の何倍もの毛が抜けるため、念入りなブラッシングが必要です。
子犬から成犬の被毛に生え変わる猿期
生後3〜6ヶ月頃に訪れる「猿期」では、子犬の柔らかい産毛が抜けて、成犬の被毛へと移行します。この時期のポメラニアンは、一時的に「顔だけ毛が残る」など見た目が変わり、少しびっくりするかもしれませんが、これは自然な成長の一環です。特別な処置は不要ですが、肌の乾燥やかゆみがないかだけは注意して観察しましょう。
ストレスによる抜け毛
ポメラニアンは環境の変化に敏感なワンちゃんです。引っ越し、留守番が多い、家族の不仲など、ちょっとしたことでストレスを感じてしまい、体調に現れることも。ストレスが原因の抜け毛は、円形脱毛や全体的な毛の薄さとして現れます。生活環境の見直しや、安心できる居場所の確保が重要です。
病気による抜け毛
皮膚病(膿皮症、アレルギー性皮膚炎など)やホルモンの病気(甲状腺や副腎の異常)は、抜け毛の原因になることがあります。毛がごっそり抜けて赤みがある、かゆがっている、フケが目立つなどの症状が見られた場合は、すぐに動物病院での診察を受けましょう。
換毛期の抜け毛対策やお手入れ

ポメラニアンにとって、春と秋の「換毛期」は一年の中でも特に抜け毛が増えるタイミングです。
この時期の抜け毛を放置すると、毛玉や皮膚トラブルにつながることも。健康で清潔な被毛を保つためには、換毛期に合わせたお手入れがとても大切です。
季節ごとのケアのポイントを押さえながら、ワンちゃんにも飼い主さんにも負担の少ない抜け毛対策を心がけましょう。
換毛期の時期と期間
ポメラニアンの換毛期は、春と秋の年2回がピークです。これらの時期には、ポメラニアンの被毛が一気に生え変わり、その影響で抜け毛が増えます。換毛期の期間はおおよそ1ヶ月程度ですが、個体差や地域によって若干の前後があるため、日々の観察が重要です。
- 春(3月〜5月):寒さから解放される季節に向けて、冬毛が抜け、夏毛が生え変わる時期です。アンダーコートが大量に抜けるため、見た目以上に抜け毛が目立つことがあります。
- 秋(9月〜11月):涼しくなるにつれて、夏毛が抜け、冬毛に変わります。特にアンダーコートが密集しており、この時期の抜け毛は非常に多く、フワフワした毛が舞い上がるのが特徴です。
換毛期には季節の変わり目に加えて、室内外の温度差や湿度の変化も影響を与えるため、普段よりも抜け毛が増えたことを実感するかもしれません。
換毛期の抜け毛の特徴
換毛期には、特にアンダーコートが大量に抜けます。アンダーコートは柔らかくて軽いため、空気中に舞いやすく、家中に毛が散乱してしまうことも。
具体的には、以下の特徴があります。
- 大量に抜ける:アンダーコートの毛は、毛穴から一気に抜け落ちるため、見た目にも「ごっそり抜けた」と感じやすいです。この時期は、掃除機や粘着ローラーを使ってもなかなか追いつかないほど、毛が舞いやすくなります。
- 毛の質が柔らかい:アンダーコートは細くて柔らかいため、床やカーペット、ソファにこびりつきやすいです。また、静電気を帯びやすく、布製品に付着しやすいです。
- 一気に抜ける:換毛期に入ると、毛が塊で抜けることが多く、これが毛玉やフェルト状に固まりやすくなります。毛玉ができると、ブラッシングがしにくくなるため、早期の対処が必要です。
このため、換毛期には特に細心の注意を払い、抜け毛を取り除くためのケアを怠らないことが重要です。
換毛期のお手入れ方法
換毛期の抜け毛を適切に処理し、ワンちゃんの被毛を健康に保つための方法を紹介します。換毛期は、普段のケアに加えて特別な対策を講じる必要があります。
1. 毎日のブラッシング
換毛期中は、1日1回のブラッシングが理想的です。特にアンダーコートを除去するためには、スリッカーブラシを使って根元から毛をほぐすことが大切です。毛玉ができやすい部位(耳の後ろ、脇、太もも)に注意を払い、毛が絡まないように丁寧に行いましょう。
2. シャンプーで清潔に保つ
換毛期に溜まりやすい皮脂や抜け毛をきれいに洗い流すため、シャンプーを月1~2回行いましょう。シャンプー後は、タオルでしっかり水分を取った後、ドライヤーで毛をかき分けるように乾かします。換毛期中は毛の乾燥を防ぐため、保湿成分を含んだシャンプーを使うのもおすすめです。
3. こまめな掃除
換毛期中は、家の中に毛が散らばりやすくなるため、掃除の頻度を増やしましょう。特に毛が溜まりやすい場所(カーペットやソファ、ベッド)を重点的に掃除し、静電気防止のモップや粘着ローラーを活用すると効率よく抜け毛を取り除けます。
4. 風通しの良い環境を作る
換毛期は、毛が大量に抜けることで皮膚が蒸れやすくなることもあります。換毛期には空気の通りやすい環境を整えてあげることで、皮膚トラブルを防ぎます。また、ブラシやコームを使って毛を整える際には、優しく扱い、皮膚を傷つけないように注意しましょう。
おすすめアイテム:
- スリッカーブラシ(アンダーコートを除去)
- ピンブラシ(オーバーコート用)
- 静電気防止スプレー
- 犬用シャンプー(保湿成分入り)
換毛期のケアは手間がかかりますが、正しい方法で対応すれば、ワンちゃんも快適に過ごせるだけでなく、美しい被毛を保つことができます。こまめなケアで、換毛期を楽しく乗り切りましょう!
正しいブラッシングの頻度とやり方

ブラッシングは抜け毛対策の基本。正しい道具と方法で、ワンちゃんにも負担なく行いましょう。
1.ブラッシングの頻度と準備するもの
換毛期は毎日、それ以外の時期でも週2〜3回が目安です。以下の道具があると便利です:
- スリッカーブラシ:抜け毛除去と毛玉ほぐしに最適
- コーム:仕上げ用。毛の流れを整える
- ピンブラシ:敏感な部位に使いやすい
2.ブラッシングの手順
- 毛玉ができやすい部分から始める(耳裏、脇、内もも)
- スリッカーで軽く毛を浮かせるようにブラッシング
- 最後にコームで毛並みを整える。力を入れすぎず、毛を引っ張らないのがポイントです。
3.ブラッシングを嫌がる場合のコツ
最初は短時間だけ、終わったらおやつをあげるなど、「嫌なこと」ではなく「楽しいこと」と関連づけるのがコツです。痛みや不快感がないよう、毛を無理に引っ張らないことも大切です。
日常的な抜け毛の対策方法

日常的に行える抜け毛対策を実践することで、ポメラニアンの毛が舞い散るのを防ぎ、清潔で快適な生活空間を保つことができます。ブラッシング以外にもシャンプーやカット、洋服など、日常的なケアで抜け毛の影響を最小限に抑えましょう。
シャンプーをする
シャンプーは、ポメラニアンの抜け毛を効果的に洗い流すために重要なケアです。抜け毛をそのままにしておくと、毛が毛玉となったり、皮膚にトラブルを引き起こしたりすることがあります。シャンプーは月に1〜2回を目安に行いましょう。
- シャンプーの効果:抜け毛を洗い流すだけでなく、皮膚を清潔に保ち、乾燥やかゆみを防ぎます。シャンプー後に毛がサラサラになることで、ブラッシングがしやすくなり、毛の絡まりを減らします。
- シャンプーの選び方:ポメラニアンは敏感な皮膚を持っているため、低刺激で保湿成分が含まれているシャンプーを選ぶと良いです。また、アレルギーやかゆみを防ぐために、無香料で無添加のシャンプーを使うことをおすすめします。
- シャンプー後のケア:シャンプー後は、タオルでしっかり水分を取った後、ドライヤーで毛をかき分けるように乾かします。毛の根元まで乾かしきることで、湿気による毛玉や皮膚炎を予防できます。
カットやトリミングをする
ポメラニアンはその豊かな毛が特徴ですが、長毛犬ゆえに手入れが大変になることもあります。特に換毛期や日常的に抜け毛が気になる場合は、カットやトリミングで毛の長さを調整するのも一つの方法です。
- サマーカット:暑い季節には、毛を少し短くすることで涼しさを保ち、抜け毛も目立ちにくくなります。特にアンダーコートが豊富なポメラニアンには、適度なカットが有効です。
- トリミングの頻度:ポメラニアンの毛は伸びるのが早いため、定期的なトリミングが必要です。通常、3〜4ヶ月に一度のトリミングを目安にすると、抜け毛が少なくなり、毛玉やもつれのリスクも減ります。
- プロのトリマーの活用:毛をカットする際には、プロのトリマーに依頼することをおすすめします。適切なカットを行うことで、毛の健康も保たれ、飼い主さんの負担も軽減されます。
洋服を着せる
抜け毛が家中に飛び散るのを防ぐために、洋服を着せるのも有効な方法です。特に家の中で過ごす時間が長い場合や、換毛期に抜け毛が目立つときは、洋服が役立ちます。
- 洋服の役割:洋服を着せることで、毛が飛び散るのを抑え、床やソファに毛が付くのを防げます。また、室内で洋服を着せることで、家具や衣類の掃除が格段に楽になります。
- 素材選び:ポメラニアンの肌に優しい素材を選びましょう。柔らかい綿やメッシュ素材は通気性がよく、ワンちゃんが快適に過ごせます。涼しい季節には、保温性のある素材もおすすめです。
- サイズとデザイン:ワンちゃんが快適に動けるように、サイズ選びが重要です。体にぴったり合うものを選ぶと、洋服を嫌がらずに着せることができます。また、デザインも楽しく、ワンちゃんの個性を引き立てるものを選ぶと、おしゃれにもなります。
抜け毛を掃除するときのコツ

抜け毛掃除は、道具と習慣の工夫でぐんと楽になります。快適な生活空間のために、ポイントを押さえて取り組みましょう。
- 掃除機:ペット用ヘッド付きの強力タイプが便利
- 粘着ローラー:ソファや服の毛を手軽に除去
- ラバーブラシや静電モップ:カーペットやフローリングの毛を集めやすい。特に寝床やケージ、ソファ、カーペット、カーテンは抜け毛がたまりやすいので、こまめにチェックしましょう。
まとめ

ポメラニアンは美しいダブルコートが特徴的な犬種で、その被毛は保温性や外部の刺激から守る役割を果たしていますが、その分、抜け毛が多くなることもあります。換毛期には特に抜け毛が増え、適切なお手入れをしないと毛玉や皮膚トラブルを引き起こすこともあります。
しかし、日々のブラッシングやシャンプー、適切なカット、そしてこまめな掃除を行うことで、抜け毛をコントロールすることが可能です。ポメラニアンの抜け毛を抑え、健康で快適な生活を送るためには、しっかりとしたケアが欠かせません。
ワンちゃんが健康で美しい被毛を保てるよう、この記事で紹介したケア方法を実践し、愛犬との生活をさらに快適にしてあげましょう。