犬を多頭飼いするメリット・デメリットとは?愛犬と相性のいい2頭目の選び方

多頭飼いは、愛犬と飼い主の両方に多くの喜びをもたらします。しかし、その一方で、経済的な負担やお世話の手間、犬同士の相性など、事前に考慮すべき課題も少なくありません。

本記事では、多頭飼いのメリット・デメリットを詳しく解説し、2頭目のワンちゃんを迎える際に成功させるための選び方と準備のポイントをご紹介します。

 

多頭飼いのメリット

多頭飼いは、愛犬と飼い主の両方に多くの利点をもたらします。以下に、それぞれの視点で具体的なメリットを詳しく解説します。

愛犬にとってのメリット

①寂しさを緩和しストレス軽減

ワンちゃんは元々群れで行動する動物であり、孤独を感じることがストレスの原因となることがあります。多頭飼いでは、他の犬と一緒にいることで、孤独感を大幅に軽減できます。例えば、飼い主が外出している間も一緒に遊んだり寄り添ったりすることで、安心感を得られます。
また、寂しさやストレスを軽減することにより、分離不安のリスクが低下し、ワンちゃんの精神的な安定にもつながります。精神的に安定した環境は、攻撃性や過剰な吠えといった問題行動の抑制にも役立つでしょう。

②運動量が増える

犬同士がじゃれ合ったり、追いかけっこをしたりすることで、自然と運動量が増えます。これは特に大型犬やエネルギーが有り余る犬種にとって重要です。十分な運動は、肥満予防だけでなく、心臓や筋肉の健康維持にも寄与します。また、犬同士の遊びは単なる運動だけでなく、精神的な刺激も与えるため、ワンちゃんが飽きることなく楽しめる環境を作り出します。

③社会性が身につく

日常的に他の犬と触れ合うことで、ワンちゃんは社会的なスキルを身につけることができます。例えば、犬同士で遊ぶ際に適切な距離感や遊び方を学びます。これは、ドッグランや公園で他の犬と接触する際にも役立つスキルです。さらに、多頭飼いの環境で育ったワンちゃんは、人間に対しても社交的な態度を取ることが多いです。

飼い主にとってのメリット

①愛犬からの愛情や癒しが倍増

多頭飼いでは、それぞれの犬から個別に愛情を受けることができます。一方の犬が甘えているときに、もう一方の犬が飼い主をじっと見つめるといったシーンは、飼い主にとって心温まる瞬間です。また、犬同士が楽しそうに遊ぶ姿や、お互いを毛づくろいする姿を見ること自体が、日々の癒しとなります。

さらに、複数のワンちゃんとの生活は、ストレス軽減効果があるとされており、特に仕事や家庭で忙しい飼い主にとって、心のリフレッシュになります。科学的には、犬との触れ合いがストレスホルモンであるコルチゾールの減少や、幸福ホルモンであるセロトニンの増加を促すとされています。

②しつけが楽になる場合がある

先住犬がしっかりとしつけられている場合、新しく迎えたワンちゃんは先住犬の行動を見て学ぶことがよくあります。これは「モデリング効果」と呼ばれる現象で、犬が他の犬の行動を模倣することによって生活習慣やマナーを自然に学ぶものです。
例えば、トイレトレーニングや、飼い主が指示を出す際の反応など、飼い主が一から教える手間を軽減できるケースがあります。ただし、先住犬が良い行動を示していることが前提となるため、最初の犬のしつけが重要です。

 

多頭飼いのデメリット

多頭飼いには多くのメリットがある一方で、課題や負担も存在します。これらを事前に理解し、対策を講じることで、多頭飼いの生活をより良いものにすることができます。

 
1.経済的な負担が増える

  • 食費の増加:犬の数が増えると、必然的にフードやおやつ代が比例して増加します。特に、質の高いフードや特定の健康状態に合わせたフードを選ぶ場合、月々の食費が大きくなることがあります。また、成長期の子犬を飼う場合は、栄養バランスを考慮した特別なフードが必要になるため、さらに費用がかさむことも。
  • 医療費の増加:多頭飼いでは、ワクチン接種やフィラリア予防、ノミ・ダニ対策、定期健診など、健康管理の費用が犬の数に応じて増えます。さらに、病気やケガが発生した場合、治療費が高額になることがあります。特に複数の犬が同時に体調を崩した場合には、医療費の負担が一気に増えるため、予想外の出費に備えておくことが重要です。
  • ペット保険料の増加:近年、多くの飼い主がペット保険に加入していますが、多頭飼いの場合、複数の保険契約が必要になります。保険料は犬種や年齢によって異なりますが、これも家計への負担として考慮する必要があります。

2.お世話の時間や手間が増える

  • 食事の準備:複数の犬がいると、それぞれの健康状態や好みに合わせたフードを準備する必要があります。一緒に食事を与える場合、食べるスピードや量に注意が必要で、特に食べ物に執着が強い犬がいる場合は個別に食事を与える必要があることも。
  • 散歩や運動の管理:犬の体力や運動量のニーズは犬種や年齢によって異なるため、それぞれの犬に適した運動を確保するのは大変です。例えば、体力が有り余っている若い犬と、高齢でゆっくり歩きたい犬を同時に散歩させるのは難しい場合があります。このため、場合によっては別々の散歩が必要になり、時間的な負担が増加します。
  • トイレや掃除:犬の数が増えると、トイレの掃除や室内の清掃にかかる手間も比例して増えます。特にトイレのしつけが完了していない犬がいる場合、トイレの場所や頻度に気を配る必要があり、ストレスにつながることも。
  • しつけの難易度:メリットでしつけが楽になる場合もあると記載しましたが、難易度が上がることもあります。複数の犬を同時にしつけるのは、1頭の犬と向き合う場合に比べて困難です。特に、1頭が悪い行動をすると他の犬が真似をすることがあり、問題行動の改善に時間がかかる場合があります。また、先住犬と新しく迎えた犬の間でしつけのレベルが異なると、飼い主が両方に対応する必要があり、根気が求められます。
  • 環境整備:犬が増えると、それに応じた環境整備が必要です。たとえば、ケージ、トイレ、おもちゃの数が増えるだけでなく、犬たちが快適に過ごせるスペースを確保するために家具の配置を見直す必要が出てきます。住居が狭い場合、ストレスの原因になる可能性もあるため、特に注意が必要です。

3.犬同士のトラブルが起きる可能性がある

  • ケンカのリスク:犬同士の相性や性格が合わない場合、ケンカが発生することがあります。特に縄張り意識が強い犬や、年齢が近い犬同士では、リーダーの座を巡って争いが起こることがあります。また、餌やおもちゃの取り合いがきっかけでトラブルになることもあります。
  • ストレスの蓄積:犬同士がうまく共存できない場合、ストレスが溜まり、体調を崩す原因になります。例えば、1頭がもう1頭に執拗に絡む場合、片方の犬がストレスで食欲不振や行動の変化を起こすことがあります。このような場合、犬たちの関係性を改善するための対応が求められます。

 

多頭飼いを成功に導く2頭目の選び方・準備

多頭飼いを成功させるためには、2頭目のワンちゃんを迎える前にしっかりと準備を整え、先住犬や家庭環境に適した選び方をすることが重要です。以下に、具体的なポイントとアドバイスを詳しくご紹介します。

1.先住犬との相性を確認する

性格の相性

先住犬の性格を考慮することが、2頭目選びの最も重要なポイントです。例えば、穏やかな性格の先住犬には、同じく穏やかな性格の犬が合う傾向があります。一方で、活発で遊び好きな先住犬には、一緒にエネルギッシュに遊べる犬が向いています。
また、新しいワンちゃんが来たことで先住犬がストレスを感じないよう、最初はお互いのペースを尊重しながら慣らしていくことが大切です。

年齢のバランス

先住犬と2頭目のワンちゃんの年齢が近い場合、同じライフステージを共有できるため、遊びや生活リズムが合いやすくなります。しかし、子犬と成犬の組み合わせも十分に配慮すればうまくいく場合があります。例えば、成犬が子犬の遊び相手になり、同時にしつけの手助けをしてくれることもあります。一方で、成犬が高齢の場合は、無理をさせないよう、エネルギーの少ない穏やかな犬種を選ぶとよいでしょう。

性別の考慮

一般的に異性同士の方が相性が良いと言われていますが、これは個体差に左右されます。同じ性別でも性格が合えば問題ない場合が多いです。事前にお見合いをして、実際にお互いがどのような反応を示すかを確認することが推奨されます。

2.家庭環境に合っているか確認する

住居の広さ

ワンちゃんが快適に過ごせるスペースがあるかを確認しましょう。特に、2頭目が大型犬の場合、運動できるスペースやくつろぐための場所を確保する必要があります。また、狭い住環境で多頭飼いをする場合は、ケージやトイレの配置を工夫して、ストレスが溜まりにくい環境を整えることが重要です。

家族構成

家庭に小さな子供や高齢者がいる場合は、穏やかな性格のワンちゃんを選ぶと安心です。活発な犬種や子犬は、予想外の行動で小さな子供や高齢者に負担をかけることがあります。家族全員が心地よく過ごせるよう、ワンちゃんの特性を十分に理解したうえで選びましょう。

世話に費やせる時間

多頭飼いでは、1頭飼いに比べて世話にかかる時間が大幅に増えます。食事、散歩、トレーニングなどに十分な時間を確保できるかを事前に検討しましょう。特に、新しく迎えたワンちゃんがまだしつけを必要とする場合、時間的な余裕が重要です。

3.健康状態に問題がないか確認する

体格のバランス

先住犬との体格差が大きいと、遊びの際にケガの原因になる可能性があります。例えば、小型犬と大型犬が一緒に遊ぶ場合、意図せず力の差でトラブルが起きることがあります。できるだけ体格が近いワンちゃんを選ぶか、遊びの際に目を離さないようにしましょう。

犬種の特徴

犬種ごとに性格や運動量、健康リスクが異なります。例えば、運動量が多い犬種は毎日の散歩や遊びが必須となるため、飼い主のライフスタイルに合っているかを確認してください。また、特定の犬種は特定の病気にかかりやすい傾向があるため、事前にそのリスクについて調べておくことが重要です。

健康チェック

新しく迎えるワンちゃんの健康状態を必ず確認しましょう。定期的な健康診断やワクチン接種が行われているか、感染症の有無、皮膚や耳の状態などを確認してください。信頼できるブリーダーや動物病院から迎えることで、健康面の不安を軽減できます。

 

まとめ

多頭飼いは、ワンちゃん同士の絆や飼い主との交流を深め、より充実した日々をもたらす素晴らしい選択肢です。しかし、経済的な負担やお世話の手間、犬同士の相性など、課題への対策が必要です。

2頭目のワンちゃんを迎える際は、先住犬や家庭環境に適した選び方をしっかり検討し、事前に準備を整えることで、愛犬たちとの楽しい多頭飼いライフを実現しましょう。適切な準備と理解をもって、ワンちゃんたちと幸せな時間をお過ごしください。

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