ブリーダー評価基準
著者:吉村貴幸
公開日:2024/11/22/更新日:2024/11/22
優良ブリーダーの見分け方⑱_犬種標準にこだわる
ワンちゃんを新しい家族として迎える際、健康で安定した性格を備えた子を選びたいという願いを持つ方が多いでしょう。その際、特に注目すべきポイントの一つが「犬種標準」に沿って繁殖されているかどうかです。
本記事では、犬種標準とは何か、その逸脱がもたらすリスク、優良ブリーダーが犬種標準にこだわる理由、そして営利優先ブリーダーとの違いについて詳しく解説していきます。
犬種標準とは何か?
「犬種標準」は、各犬種ごとに理想とされる外見や性格、動作の基準を示したものです。
例えば、ラブラドール・レトリーバーやダックスフンドとは、それぞれの特徴的な体形や毛色、性格が大切にされてきました。ラブラドール・レトリーバーには筋肉質でしっかりとした体つきとフレンドリーで社交的な性格が求められ、一方でダックスフンドは短い脚と長い胴がその特徴とされます。
これらの基準は、国際ケネルクラブ(FCI)や各国の犬種団体が長年の研究や犬種の特性を考慮して定めており、主にショードッグや繁殖の指針として利用されています。
犬種標準の重要性は見た目の美しさだけでなく、ワンちゃんが健康で安定した性格を保つための基盤ともなるのです。
また、犬種ごとの本来の役割や歴史的背景もこの標準に含まれており、ワンちゃんの性格や行動にまで影響を与えています。
犬種標準が重要な理由とそれを逸脱した場合のリスク
ワンちゃんを健康でその犬種らしく育てるためには、犬種標準に基づいた繁殖が重要です。この基準に沿うことで、ワンちゃんはその犬種特有の性質や体質を保ちながら快適に生活することができます。
しかし、犬種標準を逸脱した繁殖には健康や性格面でリスクが伴うため、注意が必要です。
犬種標準が重要な理由
犬種標準が存在する理由の一つに、その犬種が本来持つべき体質や性格などの遺伝的特徴を保つことが挙げられます。犬種標準に沿った繁殖を行うことで、ワンちゃんはその犬種特有の健康で安定した体質や、飼いやすい性格を備えることができ、犬種としての役割やライフスタイルに適した生活を送ることが可能になります。たとえば、シェパードやレトリーバーといった作業犬には、体力や集中力が求められるため、犬種標準に沿った繁殖が非常に重要です。こうした基準に従うことによって、ワンちゃんが健康で快適に、そしてその犬種らしい生活を送れるのです。
犬種標準を逸脱するリスク
一方で、犬種標準を逸脱した繁殖は、以下のようなリスクを伴います。
- 健康問題のリスク:犬種標準から大きく外れると、ワンちゃんの骨や関節に負担がかかり、特に極小サイズでは関節炎や骨折、内臓負担が増加します。また、免疫力の低下や体温調節の困難さなど、日常生活にも支障をきたす場合があります。
- 行動の不安定さや性格問題:標準から逸脱した繁殖は、性格や行動の予測が難しくなることもあります。異なる犬種の性格が混ざったミックス犬では、予期しない性格や行動が出ることが多く、しつけや日々の対応に難しさが伴うことがあります。
- 意図的な逸脱のリスク:極小サイズやレアカラーなどの意図的な逸脱は、見た目の希少性の裏に健康問題を抱えることが多く、飼い主にとっても日常的なケアが難しくなる場合があります。
犬種標準に沿った繁殖は、ワンちゃんの健やかな成長と性格の安定を保つために必要不可欠です。標準から大きく逸脱した繁殖は、ワンちゃんの健康と幸せ、そして飼い主との良好な関係に悪影響を及ぼす可能性があるため、避けるべきです。
優良ブリーダーの犬種標準へのこだわり
ワンちゃんを家族のように大切にする優良ブリーダーは、犬種標準を重視し、以下のような細かな配慮をもって繁殖に取り組んでいます。
1.親犬の選定と繁殖管理
健康で犬種標準に適した親犬を選び、無理な繁殖や過度な出産負担をかけず、慎重な繁殖管理を行います。
例えば、親犬に遺伝的な健康問題や骨格等が犬種標準から大きく外れていないかを十分に確認することで、子犬に健康で安定した遺伝を受け継がせる配慮も欠かしません。
2.ショーへの参加で犬種標準を確認
優良ブリーダーの中には、ドッグショーに積極的に参加している方も多くいます。これにより、繁殖しているワンちゃんが犬種標準にどれほど適合しているかの評価を受け、必要に応じて繁殖方針を見直すことができます。
また、ショーに参加することでブリーダーとしての知識や技術が向上し、犬種標準により近いワンちゃんを育てるための励みとなっています。
3.個々の健康と福祉を尊重
優良ブリーダーは、単に見た目や基準だけにこだわるのではなく、個々のワンちゃんの健康と福祉を最優先に考えています。犬種標準を守りつつ、各ワンちゃんの個性や健康状態に応じたケアや繁殖方法を工夫することで、長く健康で幸福に生きるためのサポートを行っています。
営利優先ブリーダーの特徴
営利優先ブリーダーは、犬種標準を軽視し、極小サイズや珍しいカラーといった市場価値の高い特徴を意図的に繁殖させることが多いです。このような繁殖は、希少性を求める顧客のニーズに応えることで高額での販売を狙うものであり、ワンちゃんの健康や福祉が犠牲にされるケースが少なくありません。
また、安易にミックス犬を作出し、犬種特有の安定した性質が保たれないまま販売することも多く、将来的に行動問題や健康リスクが生じる可能性が高まります。
このような営利優先ブリーダーの行動は、ワンちゃんの健やかな生活にとって不安要素となり得ます。
犬種標準さえ守ればいいわけではない
犬種標準は大切な指針である一方で、それに固執しすぎることも問題です。
犬種標準は時代や文化、地域によって変わることがあり、過度にこだわりすぎることでワンちゃんに負担をかけることもあります。たとえば、断尾や断耳が標準とされていた時代もありましたが、現在ではこれらの行為は動物福祉の観点から見直されるべきとされ、ワンちゃんにとっての健康や幸せを優先することが重要視されています。
また、見た目が犬種標準に完全に一致しないからといって、それが健康面で問題になるわけではありません。大切なのは、ワンちゃんがその犬種らしさを持ちつつも健康で幸福に生きられるような繁殖を行うことであり、外見にとらわれず、総合的な健康と福祉を重視した繁殖方針が重要です。
まとめ
犬種標準は、ワンちゃんの健康や性格の安定を保つために大切な指針であり、優良ブリーダーはこの基準に基づいてワンちゃんを育てています。
一方、営利優先ブリーダー見た目や流行を優先し、健康と福祉を無視した繁殖を行うこともあります。
BreederFamiliesでは、このように犬種標準を守りつつ、ワンちゃんに優しい繁殖を行っているかも評価しています。安心してワンちゃんを迎え入れるために、ぜひ参考にしてください。