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優良ブリーダーの見分け方①_断尾・断耳をしない

断尾コーギー

みなさんは、「断尾」や「断耳」という言葉を聞いたことがありますか?

これらは、特定の犬種で、しっぽや耳を切ってしまうことです!この処置は現在見た目のためだけに行われていますが、実はワンちゃんにとって大きな負担を与えるものです。

この記事では、断尾・断耳の意味やリスク、そしてそれを行わない優良ブリーダーの見分け方について詳しく解説します。

断尾・断耳とは?

しっぽありorなし

断尾・断耳は、特定の犬種において行われるしっぽや耳の形を変える処置です。これらの処置は歴史的には実用的な目的で行われていましたが、現代ではその多くが見た目を整えるために行われています。

断尾とは?

断尾は、ワンちゃんが生後5〜10日の間にしっぽを切り落とす処置です。

断耳とは?

断耳は、垂れ耳を立たせるために行われる手術です。この手術は生後数ヶ月後に行われ、麻酔が必要で、その後も耳を固定するためのケアが求められます。

断尾・断耳が行われている犬種は?

断尾・断耳されている犬種

断尾や断耳は、特定の犬種で伝統的に行われてきました。以下に、断尾・断耳が一般的に行われている犬種を紹介します。

断尾が行われる犬種

断尾は、ワンちゃんの尻尾を短く切り落とす処置で、以下の犬種でよく行われます。

  • ウェルシュ・コーギー:コーギーも断尾が行われる代表的な犬種です。牧羊犬として使われていた歴史から、作業中の怪我を防ぐために行われていたと言われていますが、現代では主に見た目のために行われています。
  • プードル:特にトイプードルやミニチュアプードルでは、見た目を整えるために断尾が行われます。ショートカットされた尻尾が特徴的です。
  • シュナウザー:ミニチュアシュナウザーやスタンダードシュナウザーでは、従来の外見基準に合わせて尻尾を短く切られることがあります。
  • ヨークシャーテリア:小型犬種のヨークシャーテリアも、尻尾を短くするために断尾が行われることが多いです。
  • ドーベルマン:防御や威圧感を強調するために、断尾が行われることが一般的です。

断耳が行われる犬種

断耳は、ワンちゃんの耳を立たせるために行われる手術で、以下の犬種でよく行われます。

  • ドーベルマン:立ち耳にするために断耳が行われ、威圧感を与えるために行われることが多いです。
  • シュナウザー:ミニチュアシュナウザーやスタンダードシュナウザーで、断耳が行われることがあります。耳を立たせるために手術後の固定が必要となります。
  • ミニチュア・ピンシャー:ミニチュア・ピンシャーでも断耳が行われ、耳が立っている姿が見た目の基準とされることが多いです。

断尾・断耳はどうして行われるの?

なぜ?

歴史的な背景

もともと、断尾・断耳は狩猟犬や作業犬が怪我をしないようにするために行われていました。茂みや水中で活動する際に、しっぽや耳が引っ掛かるのを防ぐことが目的でした。

現代における理由

現代では、断尾・断耳は主に見た目を整えるために行われています。特に日本のドッグショーの基準で定められていたり、消費者に可愛く見せるために、断尾や断耳が行われることがあります。これらの処置は、美容的な目的であり、ワンちゃんの健康には直接的な利点はありません。

世界での規制状況

福祉

動物福祉の観点からの禁止

オーストラリア、ドイツ、イギリス、ノルウェーなどの動物福祉の進んだ国々では、断尾・断耳は動物虐待とみなされ、法律で禁止されています。これらの国々では、ワンちゃんに対する不必要な負担を減らすため、ドッグショーを含め、見た目を整えるための処置は許されていません。

日本の現状

日本では、現在のところ断尾・断耳に対する法的な規制は進んでいません。しかし、ワンちゃんの健康や福祉を最優先に考えるならば、このような不必要な処置を避けることが求められます。ワンちゃんを家族として大切に育てているブリーダーは、こうした処置を行わないことが多いです。

断尾・断耳はどうやって行われるの?

断尾・断耳の方法

断尾・断耳は、ワンちゃんに対して外見を変えるための処置ですが、方法や手術の質には大きな違いがあります。適切な麻酔とケアが行われればワンちゃんへの負担をある程度軽減することができますが、そもそも断尾・断耳自体がワンちゃんにとって不要であり、不必要なリスクを伴うものです。

以下では、一般的な方法とその問題点について説明します。

断尾の方法

断尾は生後5〜10日の間に行われることが多く、通常以下のように実施されます。

  • 一般的な断尾の方法:一般的には、獣医師が麻酔を施した上で電気メスや外科用メスを使い、しっぽを切断します。電気メスを使用することで出血を抑えられるため、傷口の治癒が早まるとされています。処置自体は短時間で終わりますが、ワンちゃんにとっての痛みや不快感は避けられません。また、麻酔が適切に施されていない場合、処置の痛みはワンちゃんに大きな負担を与えます。
  • 悪徳ブリーダーによる断尾の方法:麻酔を使用せずに断尾を行う悪徳ブリーダーもいます。彼らは、しっぽをゴムで締めて血流を遮断し、しっぽが壊死して自然に落ちるのを待つという極めて残酷な手法を用いることもあります。この方法はワンちゃんに非常に強い痛みとストレスを与え、感染症や健康リスクも高まります。こうした方法は絶対に避けるべきです。

断耳の方法

断耳は、ワンちゃんが生後数ヶ月のタイミングで行われ、耳の形を変える手術です。ここでも、処置の方法によってワンちゃんに与える影響が大きく異なります。

  • 一般的な断耳の方法:一般的には麻酔をかけたうえで、電気メスを使用して耳の一部を切り取り、立ち耳の形に整えます。電気メスを使うことで出血を抑えながら手術が行われますが、手術後には耳を立たせるためにテープやワイヤーで数週間から数ヶ月にわたり耳を固定する必要があります。この術後ケアは非常にストレスフルであり、耳の固定が不適切だと、耳が正しく立たず再手術が必要になることもあります。
  • 悪徳ブリーダーによる断耳の方法:悪徳ブリーダーは、麻酔を使わずに断耳を行うことがあります。これは極めて危険で痛みを伴う処置であり、ワンちゃんに大きな苦痛を与えます。感染症のリスクが高まり、術後のケアも行われないことが多いため、耳が完全に治癒しないまま放置されるケースもあります。

断尾・断耳がワンちゃんに与える影響

しっぽのコミュニケーション

断尾・断耳は、一時的な痛みにとどまらず、ワンちゃんに対して長期的な健康リスクや心理的な影響を引き起こすことがあります。以下では、これらの具体的な影響について詳しく見ていきます(※1)。

1. 慢性的な痛みと健康リスク

断尾や断耳は、一度の手術による痛みだけでなく、ワンちゃんの体に長期的な痛みや健康リスクをもたらします。

  • 神経腫のリスク:断尾では、切断された部分に神経腫と呼ばれる痛みを伴う神経腫瘍が形成される可能性があります。神経腫は、しっぽや耳の切断部位で神経が異常に再生することで起こり、ワンちゃんが日常生活の中で慢性的な痛みを感じ続ける原因となります。この痛みは、触れることや特定の動きで刺激されるため、ワンちゃんが不快感を感じやすく、長期的にストレスを抱える可能性があります。
  • 感染症のリスク:断耳では、耳を切開するため、術後に感染症が発生するリスクも高まります。手術後のケアが不十分である場合、耳に細菌が入り込んだり、傷が正しく治癒しない可能性があります。また、耳を立たせるために行う固定処置が不快感を引き起こし、さらにストレスを与える要因となります。耳を頻繁に掻いたり、頭を振るような行動も感染症を悪化させるリスクがあります。
  • 術後の回復期間とケアの負担:断耳の場合、耳が正しい形で治癒するまでの回復期間が長く、その間、耳を固定するためにテープやワイヤーで持続的にサポートする必要があります。このケアはワンちゃんにとって大きな負担であり、痛みや不快感を伴うことが多くあります。特に固定が長期間に及ぶ場合、ワンちゃんがその不快感に耐え続けることは非常にストレスとなります。

2. コミュニケーション能力の低下

ワンちゃんは、しっぽを使って感情を伝える重要なコミュニケーション手段を持っています。しっぽの動きは、他の犬や人間との間での感情の伝達に大きな役割を果たしており、断尾によってその能力が制限されることが問題です。

  • 感情表現の喪失:ワンちゃんは、喜び、恐怖、緊張、警戒など、さまざまな感情をしっぽの動きで伝えています。断尾によってしっぽが短くなると、これらの感情が十分に伝わらなくなり、他の犬や人間とのコミュニケーションが誤解を生じさせやすくなります。例えば、ワンちゃんがしっぽを振っていることで喜びを表しているのか、警戒しているのかが分かりにくくなり、コミュニケーションの齟齬が生まれやすくなります。
  • 犬同士の社会的行動の制限:犬同士の関わり合いにおいて、しっぽは非常に重要な役割を果たします。しっぽを高く掲げたり、低く下げたりすることで、相手の犬に対する意図や態度を伝えます。しかし、断尾された犬はこれらの非言語的なサインを伝えることが難しくなり、他の犬との社会的なトラブルや誤解を引き起こす可能性が高まります。これにより、他の犬との関係が悪化したり、攻撃的な行動に発展することもあります。

3. ストレスと心理的影響

手術自体がワンちゃんにとって大きな心理的ストレスとなります。さらに、術後のケアや回復期間中の不快感がワンちゃんに長期間にわたって負担を与えることがよくあります。

  • 手術への恐怖とトラウマ:手術の際に感じる痛みや、診療台に乗せられた際の恐怖感がトラウマとして残り、その後も病院や獣医師に対する強い恐怖心を持つようになるワンちゃんが少なくありません。特に麻酔を使わない断尾の場合、非常に若い段階で強い痛みを経験することから、その後の成長にも影響を与えることがあります。
  • 術後ケアのストレス:断耳の場合、術後の長期的なケアが必要で、耳を固定したり清潔に保つための処置がワンちゃんにとって大きなストレスとなります。耳にテープやワイヤーを巻きつけられることで不快感を覚え、ワンちゃんがそれに対して反発する行動を取ることもあります。このようなケアは心理的な負担を増大させ、日常生活においても不安やストレスを引き起こす原因となります。
  • 長期的な心理的影響:断尾・断耳による体の一部が失われた経験や、術後の不快感、慢性的な痛みなどは、ワンちゃんの行動にも影響を与え、不安症や攻撃性といった心理的な問題を引き起こす可能性があります。

このように、断尾や断耳はワンちゃんに多大な負担を与え、彼らの生活の質に大きな悪影響を及ぼす可能性が高いのです。

(※1)Tail Docking of Canine Puppies: Reassessment of the Tail’s Role in Communication, the Acute Pain Caused by Docking and Interpretation of Behavioural Responses デビッド・J・メラー著

断尾・断耳を行わないブリーダーを選ぶポイント

ポイント

断尾や断耳を行わないブリーダーを選ぶ際には、ワンちゃんの健康と福祉を最優先に考え、以下のステップに従って確認することが重要です。

1. 断尾・断耳が行われている犬種か確認する

最初に、選ぼうとしている犬種が断尾・断耳を行う習慣があるかどうかを確認しましょう。例えば、プードル、シュナウザー、ドーベルマン、ミニチュアピンシャーなどは伝統的に断尾や断耳が行われることが多い犬種です。

一方で、断尾・断耳を行わない犬種も存在します。そのため、まずは自分が選ぶ犬種について、断尾・断耳の慣習があるか事前に情報を集めることが大切です。

2. ネット情報やヒアリングでブリーダーの姿勢を確認する

次に、ネット情報を確認したり、ブリーダーへ直接質問することで、断尾・断耳に対する姿勢を確認します。優良なブリーダーは、ワンちゃんの福祉を最優先に考え、不要な手術を避ける姿勢を明確に持っています。断尾・断耳を行わない理由や、どのような考えのもとでブリーディングを行っているのか、具体的に質問して確認しましょう。

3. 写真や現地でワンちゃんを確認する

最後に、実際にワンちゃんのしっぽや耳の状態を確認することが大切です。ブリーダーのウェブサイトや紹介写真で、断尾や断耳が行われていないかどうかを確認し、さらに実際にブリーダーのもとを訪れて、ワンちゃんの自然な状態を目で確認しましょう。

まとめ

断尾・断耳は、美容目的で行われる不必要な処置であり、ワンちゃんにとって慢性的な痛みやコミュニケーション能力の低下など、多くのリスクを伴います。これらの処置を行わないワンちゃんを家族のように大切にするブリーダーを選ぶことが、ワンちゃんの健康と幸せにとって非常に重要です。

BreederFamiliesでは、この記事で紹介したような視点を重視し、断尾・断耳を行わない優良ブリーダーを評価・紹介しています。ワンちゃんの幸せを第一に考えるブリーダーを選んで、大切な家族として迎え入れてください。

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