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優良ブリーダーの見分け方③_ミックス犬を繁殖しない

マルプー

2024年の人気犬種ランキングで第2位にランクインしたミックス犬は、そのユニークな見た目や愛らしい性格から多くの人々に愛されています。しかし、こうした魅力の背後には、犬自身の健康や福祉に対する課題が隠れています。

今回は、ミックス犬のリスクに関して詳しく説明していきます。

ミックス犬とは?

犬種ランキング

ミックス犬とは、異なる犬種を交配させて誕生した犬のことを指します。例えば、トイプードルとポメラニアンを交配させた「ポメプー」や、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルとプードルを交配させた「キャバプー」が有名です。2024年の人気犬種ランキングで、ミックス犬は堂々の第2位に輝きました。

ミックス犬自体は魅力的な存在で、そのユニークな外見や性格が多くの人々に支持されています。

しかし、ワンちゃんを家族のように大切にするブリーダーは、ミックス犬の繁殖をあまり行わないことが多いです。なぜなら、ミックス犬の繁殖にはいくつかのリスクが伴い、そのリスクが犬たちの健康や福祉に影響を及ぼす可能性があるからです。

ミックス犬に隠れたリスク

ここでは、ミックス犬を飼う際に気をつけたい4つのリスクについて詳しくご説明します。

1. 無理な交配による健康リスク

チワスキー

異なる犬種を交配する際、特に体格差や頭部の形状、骨格の違いが大きい犬種同士の組み合わせは、母犬と生まれる子犬の双方にリスクを伴います。たとえば、体格の大きな犬種のオスと小型犬のメスを交配させた場合、子犬のサイズが母犬の産道に対して過大になることがあり、帝王切開が必要となるケースが多々見られます。

また、出産時のリスクが高くなるだけでなく、異なる骨格や体形を持つ犬種の交配により、子犬が骨や関節に問題を抱える可能性もあります。具体的には、異常な歩行パターンや関節の変形が見られることもあり、成長期にはこれが痛みや行動制限を引き起こすことが多いです。

2. 健康ケアと診断の難しさ

健康診断

ミックス犬は両親犬の異なる遺伝子が混在しているため、どちらの特徴が強く出るかを予測するのが困難です。これにより、一般的な健康診断で見逃される健康リスクが増える可能性があります。たとえば、片親が遺伝性の心臓疾患を持つ犬種で、もう片方が皮膚トラブルを抱えやすい犬種の場合、ミックス犬はその両方のリスクを抱えることになりますが、どちらの症状がいつ現れるか予測が難しいため、診断と治療が複雑化します。

また、治療法の選択が難しく、一般的な診断法が通用しないケースもあるため、飼い主や獣医師にとっても時間や費用の負担が増加する傾向があります。

3. 消費者の過度な期待と現実のギャップ

ギャップ

ミックス犬には、「異なる犬種の良い特性だけを引き継ぐ」「健康で長寿」という誤ったイメージがつきがちですが、これは科学的な根拠が不足しています(※1)。特に「アレルギーが発生しにくい」という期待が多いですが、実際には親犬のアレルギー体質が強く現れることもあり、毛や皮膚にトラブルが出やすいケースも見られます。

また、片親から性格の攻撃性を受け継ぐ可能性もあり、育ててみると想像以上に活発だったり、吠えや噛みつきの癖があったりすることも少なくありません。

こうしたギャップが飼い主の負担となり、最悪の場合は犬を手放す原因にもなり得るため、迎える際には慎重な検討が必要です。

※1:Expectations versus Reality of Designer Dog Ownership in the United States | Paola Maria Valsecchi著

4. 法規制の抜け道としての利用

法律

ミックス犬は血統書が発行されないことが多いため、繁殖履歴の管理が曖昧になりやすく、営利優先のブリーダーが繁殖回数の制限を無視しやすい傾向があります。日本の法律では、純犬種の母犬には生涯の繁殖回数(最大6回まで)や年齢の制限(最長7歳まで)が設けられていますが、ミックス犬の場合、これらの制約が曖昧なままであることが問題視されています。

加えて、純犬種では親犬の遺伝的な疾患を確認するために遺伝子検査が推奨されていますが、ミックス犬では検査が行われないことが多く、その結果、遺伝的リスクが見逃され、適切な健康管理がなされないケースもあります。このような曖昧さを利用し、犬の健康や福祉を犠牲にした無理な繁殖が行われる場合もあり、飼い主と犬にとって長期的なトラブルを引き起こすリスクが増大します。

優良ブリーダーがミックス犬を繁殖しない理由

種の保存

ワンちゃんを家族のように大切にするブリーダーは、通常、ミックス犬の繁殖を行いません。その背景には、犬種の保存や健康リスク、飼い主への説明責任など、複数の理由が関わっています。ここでは、優良ブリーダーがミックス犬を繁殖しない理由を3つに分けて解説します。

1. 犬種の保存が目的であり、ミックス犬の繁殖はその目的に反する

ブリーダーの一つの大きな役割は、特定の犬種の特性や遺伝形質を維持し、将来の世代に引き継ぐことです。犬種ごとに異なる歴史的背景や役割、性格、体格があり、ブリーダーはそれらを守る使命を持っています。

ミックス犬の繁殖は、異なる犬種の特性が混ざり合い、純粋な血統や特徴が失われるため、犬種の保存という目的が果たされません。そのため、犬種への深い愛情を持つブリーダーほど、純犬種の維持を重視し、ミックス犬の繁殖を避ける傾向があります。

2. 予測困難な遺伝リスクや健康リスクがあるため、ワンちゃんの健康・福祉に悪影響が生じる

ミックス犬の繁殖では、親犬の遺伝子が複雑に絡み合い、どちらの特性がどのように現れるか予測が困難です。純犬種の場合、犬種ごとに特有の遺伝性疾患や健康リスクが明確になっており、適切な健康管理や予防が可能です。

しかし、ミックス犬では異なる犬種のリスクが混在するため、どのような健康問題が発生するかを事前に把握することが難しくなります。このため、健康管理が難しいミックス犬の繁殖は、ワンちゃんの健康と福祉を考えると避けるべきだと考えています。

3. 飼い主への説明やアフターフォローが難しい

優良ブリーダーは、犬の特性や健康リスクについて、飼い主にしっかりと説明を行う責任を持っています。純犬種であれば犬種ごとの特徴やリスクを伝えやすく、飼い主も安心して犬を迎え入れることができますが、ミックス犬の場合、どのような健康リスクが将来的に発生するかが明確ではないため、飼い主に十分な説明ができません。

また、アフターフォローにおいても、健康や性格の問題が発生した際に適切な助言を行うのが難しくなるため、ミックス犬の繁殖は避けられるべきと考えられています。

まとめ

ミックス犬はその独特な魅力で多くの人々に愛されていますが、繁殖には健康や福祉に関するリスクが存在し、慎重な判断が必要です。特に、異なる犬種を交配することで生じる健康リスクや診断の複雑さ、飼い主の期待とのギャップなどが隠れた課題として挙げられます。また、優良ブリーダーは、犬種の保存や犬自身の健康、飼い主への説明責任を重視しているため、ミックス犬の繁殖を控える傾向にあります。

「BreederFamilies」は、ワンちゃんを家族のように大切にするブリーダーを厳選し、犬種の保存や犬の健康・福祉を優先する方針を徹底しています。犬を迎える際には、単なる見た目や人気にとらわれず、しっかりとした背景情報をもとに判断することが大切です。

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