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優良ブリーダーの見分け方⑩_遺伝子検査をしっかり

遺伝疾患とは何か?

遺伝疾患とは、親から子に引き継がれる遺伝子の変異によって引き起こされる病気です。ワンちゃんの場合、遺伝情報は「染色体」という小さな構造に記録されており、1組の染色体には父親と母親から1本ずつ引き継ぎます。この遺伝情報の中に「変異」があると、遺伝疾患が発症するリスクが生じます。

遺伝には優性遺伝と劣性遺伝という2種類の仕組みがあり、それぞれ発症の条件が異なります。優性遺伝の場合、「1つの遺伝子に変異があれば疾患が発症」しますが、劣性遺伝の場合は「両方の遺伝子に変異がある場合にのみ発症」します。遺伝疾患のほとんどは劣性遺伝で伝わるため、両親から引き継いだ両方の遺伝子が「変異を持っているかどうか「が発症の重要なポイントとなります。

遺伝子検査とは何か?

遺伝子検査とは、特定の遺伝疾患に関連する「変異遺伝子」をどのように持っているかどうかを確認するための検査です。遺伝疾患の多くは劣性遺伝で発症するため、遺伝子検査の結果は次の3つの状態で判定されます

  • ノーマル:両方の遺伝子が正常で、変異を持っていない状態。この場合、遺伝疾患の発症リスクはありません。
  • キャリア:2本の遺伝子のうち1本だけに変異がある状態。この場合、劣性遺伝性疾患であれば症状は出ませんが、キャリアの遺伝子が子犬に引き継がれる可能性があります。
  • アフェクテッド:2本の遺伝子ともに変異がある状態。この場合、遺伝疾患が発症するリスクがあります。

遺伝疾患を発症しないためには?

子犬が遺伝疾患を発症しないようにするためには、親犬の遺伝子状態をしっかり確認することが大切です。以下のポイントを守ることで、子犬の健康リスクを効果的に抑えることができます。

ノーマルの親犬を交配する

親犬のどちらかがノーマルであれば、基本的には子犬が遺伝疾患を発症することはありません。父犬か母犬のどちらかがノーマルであれば、子犬はキャリアになる可能性があるに留まり、遺伝疾患が発症するリスクはほぼゼロです。

逆にノーマルが確認できない交配はしない

親犬のどちらかがノーマルでない場合(つまり、キャリアやアフェクテッド同士の交配)、子犬がアフェクテッドとなり遺伝疾患が発症するリスクが高まります。優良ブリーダーは、必ず片方の親がノーマルであることを確認してから繁殖に臨みます。
このように、優良なブリーダーは遺伝疾患のリスクを避けるために繁殖前に遺伝子検査を行い、遺伝子の状態を把握したうえで、健康なワンちゃんを育てるよう努めています。

どんな遺伝子検査が必要なのか?

遺伝子検査は、遺伝疾患ごとに検査が必要です。例えば、代表的なものでは、遺伝疾患には進行性網膜萎縮症(PRA)や変性性脊髄症(DM)がありますが、万が一発症するとワンちゃんはもちろん飼い主さんも苦しい思いをします。

  • 進行性網膜萎縮症(PRA):視力を司る網膜の細胞が徐々に機能を失い、最終的には失明に至る遺伝性疾患です。PRAは初期段階では暗い場所での視力が低下する「夜盲症」として現れることが多く、やがて日中でも視力が低下し、完全に視覚を失います。この疾患はゆっくりと進行するため、発症後しばらくは日常生活に大きな影響が出ないこともありますが、進行が進むにつれ、ワンちゃんの生活の質が著しく低下します。
  • 変性性脊髄症(DM):脊髄の神経細胞が徐々に機能を失う進行性の疾患で、最終的には後肢の麻痺や歩行困難に至る病気です。DMの初期症状としては、後肢が不安定になったり、歩行時にふらつくことが見られますが、時間とともに症状は進行し、後肢が完全に麻痺する場合もあります。痛みを伴わないものの、日常生活に支障をきたし、介護が必要になることが多いため、早期発見と予防が重要です。

また、犬種ごとにかかりやすい疾患も異なるため、トイプードルやボーダー・コリーなどの犬種別に特有リスクに応じた遺伝子検査も重要です。

たとえば、トイプードルとボーダーコリーでは以下のような違いがあります。

  • トイプードル:進行性網膜萎縮症(PRA)、変性性脊髄症(DM)、フォンヴィレブランド病(vWD)
  • ボーダー・コリー:コリー眼異常(CEA)、セロイドリポフスチン症(CL)、遺伝性好中球減少症(TNS)

よって、単に遺伝子検査をしまてますとアピールしていても、犬種ごとに必要な検査をやってないブリーダーもいるので、注意が必要です。

優良ブリーダーの遺伝子検査

優良なブリーダーは、ワンちゃんを家族のように大切にするという姿勢から、遺伝子検査に真摯に取り組み、子犬の将来の健康を最優先に考えています。具体的に優良ブリーダーが行う遺伝子検査には以下の特徴があります。

1.交配前の慎重な遺伝子検査の実施

優良ブリーダーは、繁殖前に親犬の遺伝子検査を行い、片方の親が「ノーマル」であることを確認し、子犬が遺伝疾患を発症しないよう配慮しています。万が一、両方の親がキャリアであることが判明した場合、交配を見送る、もしくは別のノーマルな親犬と交配するなど、細心の注意を払います。

さらに、親犬の直接の遺伝子検査が難しい場合でも、その親犬の両親(つまり祖父母犬)がノーマルであることが確認できていれば、親犬もノーマルであると判断される場合があります。こうした血統の確認を通じて、リスクを避ける努力がなされています。

2.犬種ごとに必要な検査の選定

優良ブリーダーは、犬種ごとに異なる遺伝疾患のリスクを理解し、その犬種に適した検査項目を選びます。たとえば、トイプードルでは進行性網膜萎縮症(PRA)や変性性脊髄症(DM)といった遺伝疾患が重要視され、ボーダー・コリーではコリー眼異常(CEA)や遺伝性好中球減少症(TNS)が問題となるため、これらの検査を必ず実施しています。

3.検査結果の透明性

優良ブリーダーは、検査結果を購入希望者に対してオープンにし、説明責任を果たしています。検査結果に基づいてどのような配慮を行っているか、具体的に話すことができ、購入希望者に対して遺伝的リスクについてもしっかり説明します。

また、必要に応じて、検査の詳細な証明書やデータを見せることもあります。

4.最新の遺伝子情報へのアクセスとアップデート

優良ブリーダーは、新たに発見される遺伝疾患や遺伝子検査の進歩にも敏感に対応しています。日本国内で実施が難しい検査がある場合は、必要に応じて信頼性の高い海外の検査機関に依頼し、ワンちゃんの健康を第一に考える姿勢を貫いています。こうしたグローバルな検査機関の利用により、最新の遺伝情報を確保し、質の高い繁殖管理を実現しています。

営利優先ブリーダーの遺伝子検査と留意点

一方で、営利優先のブリーダーの中には、遺伝子検査に関して不十分な対応や見せかけのアピールが見られることがあります。

以下は、営利優先ブリーダーの遺伝子検査に関する留意点です。

1.検査を行わない、または最低限の検査のみ実施

繁殖による利益を優先するブリーダーは、コストや手間を避けるために、そもそも遺伝子検査を行わないことがあります。また、最低限の検査だけを実施して「遺伝子検査済み」と称し、消費者に安心感を与えようとするケースも見られます。こうした場合、実際に必要な遺伝子検査が抜けている可能性が高く、結果として子犬の健康リスクが放置されることがあります。

2.犬種に無関係な検査で「健康」をアピール

営利優先ブリーダーの中には、犬種特有リスクとは無関係な検査を行い、「遺伝子検査済み」とだけアピールすることがあります。たとえば、トイプードルにとって関連性の低い遺伝疾患の検査結果を公表し、本来必要な検査を行っていない場合もあり、消費者に誤解を与える可能性があります。

3.他のワンちゃんの検査結果を流用

悪徳ブリーダーの一部は、親犬の検査を別のワンちゃんで行い、その結果を使い回すという悪質な手法を取ることもあります。

これにより、実際には適切な検査がされていないにも関わらず、検査結果が整っているかのように見せかけられます。検査証明書がきちんと親犬と一致しているかを確認することが重要です。

4.購入希望者への説明不足と責任回避

営利優先のブリーダーは、遺伝疾患リスクに関して十分な説明を行わないことが多く、購入希望者が不安に思う質問にも曖昧な回答で対応することがあります。遺伝子検査に関する理解が浅く、質問に答えられない場合もあり、問題が発覚しても販売後の責任を回避しようとすることが懸念されています。

こうした背景を踏まえ、ワンちゃんを迎える際は遺伝子検査が適切に行われ、購入者に対する説明がしっかりと行われる信頼できるブリーダーを選ぶことが大切です。

まとめ

遺伝疾患を防ぐためには、遺伝子検査が欠かせません。

優良ブリーダーは、親犬の遺伝子検査を徹底して行うことで、子犬が健康な一生を過ごせるよう努めています。繁殖前に親犬の遺伝子状態を確認し、犬種に応じた適切な検査を行い、最新の情報や技術を取り入れるなど、細やかな配慮を怠りません。また、検査結果を購入希望者に対して透明に公開し、遺伝的リスクについても説明を欠かさないことで、飼い主に安心を提供しています。

一方で、営利優先のブリーダーは、検査が不十分であったり、誤解を招くような対応をすることが多く、子犬の健康リスクを無視しがちです。

遺伝疾患のリスクを減らし、健康で幸せなワンちゃんを迎えるためには、信頼できる優良なブリーダーを選ぶことが重要です。BreederFamiliesでは、遺伝子検査をしっかり行っているかも評価基準に入れて、ブリーダーを厳選しております。遺伝子検査をしっかり選んでいるブリーダーから子犬を迎えましょう。

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