ペットショップでの子犬購入を避けたほうがいい理由
健康で飼いやすいワンちゃんをお迎えするためには、購入先の選択がとても重要です。多くの人は便利なペットショップで子犬を迎えますが、そこには多くのリスクが潜んでいます。特に健康面やしつけの面での問題が顕在化しやすく、ワンちゃんと家族にとって後々深刻な影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、なぜペットショップでワンちゃんを迎えない方が良いのか、理由を詳細にご説明します。
子犬をお迎えする選択肢
ワンちゃんを迎えるには、主にペットショップ、ブリーダー、保護団体・里親サイト、3つの選択肢があります。それぞれに特徴があり、どの方法がワンちゃんにとって最も健全で安心できるかを慎重に考える必要があります。
ペットショップ
ペットショップは、子犬の購入方法として日本で最も一般的です。調査によると、約63.3%の飼い主がペットショップを通じてワンちゃんを迎えています。店頭で直接ワンちゃんを見て購入できる手軽さが魅力ですが、後述するように、多くの健康リスクやしつけ面での問題が潜んでいるため注意が必要です。
ブリーダー
ブリーダーから直接ワンちゃんを迎える方法は約16.3%の飼い主が選んでいます。直接ブリーダーと会って話ができるという利点もあります。ただし、優良ブリーダーは、ワンちゃんを健康に育て、社会化に力を入れていますが、全てのブリーダーがそうではありません。営利優先の悪徳ブリーダーも存在し、彼らはワンちゃんの健康や幸福よりも利益を追求します。信頼できるブリーダーを見つけることは難しく、慎重なリサーチが求められます。
保護団体・里親サイト
保護団体や保護サイトからワンちゃんを迎える選択肢もあります。約9.5%の飼い主がこの方法を選んでおり、家庭を失ったワンちゃんを新しい家族に迎えることができます。命を救うという意義は非常に大きいですが、ワンちゃんの過去の経緯や健康状態についてはしっかりと確認する必要があります。
また、保護犬ではないのに保護犬として営利目的で販売している団体も存在します。信頼できる団体を選ばないと、逆に動物福祉に反する行動になってしまう可能性があるため、慎重な選択が求められます。
※「一般社団法人ペットフード協会.令和4年全国犬猫飼育実態調査.ペット入手時の情報源・入手先」より
ペットショップからお迎えしない方がいい理由
① 子犬の体に心身に負担がかかる
ペットショップで販売されるワンちゃんたちは、狭い箱に閉じ込められ、何度も長距離移動させられることが多く、この環境がワンちゃんに大きな身体的・精神的負担を与えます。以下の要素が、健康に悪影響を及ぼす原因となります。
- 狭い箱での長距離移動:ペットショップで販売される子犬の多くは、ペットオークションや繁殖施設から狭い箱に入れられ、何度も長距離を移動します。この移動は、ワンちゃんにとって極度のストレスと体力の消耗を引き起こし、体調不良や免疫力の低下につながります。特に、十分な食事や休憩が取れないまま移動する場合は、体に負担がかかります。
- 狭いケージでの生活によるストレス:ペットショップでは、ワンちゃんたちは狭いケージに閉じ込められ、自由に動き回ることができません。このような生活環境は、ワンちゃんにとって非常にストレスフルであり、免疫力を低下させ、消化器系のトラブル(下痢や嘔吐)を引き起こすことがよくあります。ストレスが蓄積すると、健康全体に悪影響を及ぼし、長期的な健康問題に発展するリスクも高まります。
- 感染症リスクの増加:ペットオークションを経由する場合、限られたスペースに多くの子犬が密集しているため、感染症のリスクが高まります。ウイルスや細菌、寄生虫などが急速に広がる環境となっており、特にパルボウイルスやジステンパーウイルスといった致命的な感染症が問題となります。ワクチン接種が不十分な子犬もいるため、感染リスクはさらに高まり、免疫力の低い子犬は重篤な症状を引き起こすこともあります。
② しつけが難しくなるリスク
ペットショップで販売される場合は、ワンちゃんが母犬や兄弟犬から早期に引き離され、社会化のプロセスが不十分であることが多いです。社会化が欠けることで、成犬になったときに攻撃的な行動や分離不安などの問題が発生するリスクが高まります。なお、社会化とは、ワンちゃんが他の犬や人間と適切にコミュニケーションすることを学ぶ重要な時期を指します。
- 社会化不足による問題行動:ペットショップでは、ケージに閉じ込められた環境で人との触れ合いも限られるため、社会化が不十分なまま成犬になる可能性があります。これにより、成犬になったときに他の犬や人に対して攻撃的になったり、過度に恐怖心を抱く行動が見られることがよくあります。特に、恐怖から攻撃的になるケースは非常に多く、家庭内での問題行動(噛みつき、吠え続けるなど)につながることが多いです。
- 分離不安のリスク:早期に母犬や兄弟犬から引き離され、一人で過ごす時間が長いと、分離不安のリスクが高まります。分離不安とは、飼い主が外出するたびに強い不安や恐怖を感じる状態で、吠え続けたり、家具を破壊したりといった問題行動が引き起こされます。特に、ケージ内で長時間過ごすことが多いペットショップのワンちゃんは、分離不安を発症しやすいです。
③ 店舗でのケアが行き届かない
ペットショップでは、少数のスタッフが多数のワンちゃんを管理しているため、食事や運動、衛生管理が不十分な場合があります。これにより、成長に必要なケアが行き届かず、健康問題を引き起こすリスクが高まります。
- 食事と運動の不足:ワンちゃんの成長期において、栄養バランスの取れた食事と適度な運動は非常に重要です。しかし、ペットショップではその管理が不十分なこともあり、栄養不足や運動不足が原因で、骨の発育不良や筋肉の弱さが見られることがあります。特に、大型犬種や活発な犬種の場合、運動不足は関節の問題を引き起こしやすく、将来的に関節炎や股関節形成不全などの健康問題が発生するリスクが高くなります。
- 衛生管理の問題:ペットショップで衛生管理が不十分な場合、寄生虫や皮膚病の発生率が高まります。これにより、飼い主が迎えた後に皮膚のトラブルや寄生虫感染に悩まされるケースもあります。定期的な清掃や適切な衛生管理が行われていない環境では、子犬が常に感染症や皮膚病のリスクにさらされます。
④ 情報が不透明
ペットショップでは、ワンちゃんの出自や育成環境、親犬や兄弟犬に関する情報が十分に提供されないことが多いため、成長後のサイズや健康状態、性格に関して正確な情報が得られない可能性が高いです。また、誕生日が改ざんされるケースもあり、飼い主が適切な健康管理を行うのが困難になるリスクがあります。
- 遺伝的背景の不透明さ:ペットショップでは、ワンちゃんの親犬に対する健康状態や遺伝疾患に関する情報が提供されないことがあります。親犬が遺伝性疾患を持っている場合でも、その情報が飼い主に伝わらないため、遺伝的リスクを抱えた子犬が販売されている可能性があります。これにより、飼い主が知らずに健康リスクのあるワンちゃんを迎えてしまうことがあります。
- 育成環境や親犬・兄弟犬の情報不足:親犬や兄弟犬の情報が提供されないため、ワンちゃんが成長した際のサイズや毛色、見た目を予測することが難しくなります。親犬の体格や毛色は、子犬の将来的な姿を予測する上で重要な指標ですが、ペットショップではこうした情報が不足しています。そのため、成犬になったときに予想外のサイズや外見になり、飼い主が困惑するケースもあります。
- 誕生日の改ざん:最近ニュースになっているように、一部のペットオークション・ペットショップでは「小さい方が高く売れる」という理由から、ワンちゃんの誕生日が改ざん(実年齢より上に見せる)されることがあります。ワンちゃんの正確な誕生日が分からないと、適切なワクチン接種のタイミングや成長過程の把握が難しくなるため、健康に悪影響を与える可能性もあります。何より、早く引き離された子犬は①健康問題や②社会化が進まない問題が発生しやすくなります。
※「環境省.報道発表資料.ペットオークション・ブリーダーへの一斉調査結果について」より
⑤ 売れ残ったワンちゃんの行き先が不明
ペットショップで売れ残ったワンちゃんは、多くの場合、別の店舗に移送されたり、引き取り業者に渡されたりして、最終的にどうなるか分からないことがあります。こうした取引は、動物福祉の観点から大きな問題であり、社会的に議論されるべきです。
海外ではペットショップでの生体販売が禁止に
世界の多くの国では、動物福祉の観点からペットショップでの生体販売が禁止されています。これにより、ワンちゃんたちが過酷な環境で商品化されることを防ぎ、より健全な繁殖と育成が推奨されています。
ヨーロッパ
イギリスやスウェーデン、ドイツ、イタリア、フランスなど、ヨーロッパの多くの国ではペットショップでの生体販売が法律で禁止されています。
オセアニア
オーストラリアやニュージーランドも、ペットショップでの生体販売を禁止し、動物福祉の取り組みが進んでいます。
アメリカ
アメリカでは、カリフォルニア州やメリーランド州、イリノイ州、ニューヨーク州などでペットショップでの生体販売が禁止され、ワンちゃんを迎える方法としてブリーダーや保護団体が推奨されています。
まとめ
ペットショップは利便性が高いですが、多くの健康リスクやしつけの問題が潜んでいます。ワンちゃんが健やかで幸せな生活を送るためには、ペットショップ以外の選択肢を慎重に検討することが重要です。世界的な動向として、ペットショップでの生体販売が禁止されている国々が増えている中、日本でも動物福祉の観点を重視し、ワンちゃんを家族として大切にする選択が求められています。
最も安心なのは、「ワンちゃんを家族のように大切にするブリーダー」から迎えることです。我々は、これまでなかった優良ブリーダーの18基準を作り、それを基に優良ブリーダーを厳選しております。そして、具体的な基準の中身についてもユーザーの皆様に公開しているため、安心して健康な子犬をお迎え頂くことができます。