初めて犬を飼うには?必要な準備・費用とおすすめの犬種選びを解説
犬を家族の一員として迎えることは、人生において素晴らしい決断ですが、それに伴う準備や責任に不安を感じる方も多いでしょう。この記事では、初めて犬を飼う方に向けて、必要な準備、費用、犬種の選び方、飼い始めた後にやるべきことを詳しく解説します。これを読めば、安心してワンちゃんを迎え入れ、充実した生活をスタートできるはずです。
犬を飼うには?初心者が子犬を迎える前に考えておくこと
犬を飼うことは、単に可愛がるだけでなく、その命を一生涯責任を持って守ることです。毎日の散歩、食事、トイレの世話、健康管理は飼い主としての基本的な義務です。10年、15年後もワンちゃんと共に過ごすことをしっかりとイメージして、本当に飼えるかどうかを十分に考えましょう。
ここでは、ワンちゃんを飼うにあたっての心構えとなる犬の10戒を紹介します。
犬の10戒
- 私の寿命は10~15年です。長い時間、あなたと離れて過ごすことは辛いです。どうか最後まで一緒にいてください。
- あなたが私に何を望んでいるのか、私が理解できるまで時間をください。
- 私を信じてください。私はあなたに全幅の信頼を置いています。
- 私を叱る前に、私には他に方法がないかもしれないことを思い出してください。私にはあなたの理解が必要です。
- 私に話しかけてください。たとえあなたの言葉がわからなくても、私には感じ取ることができます。
- あなたがどんなふうに私を扱っても、私はそれを忘れません。
- 私を叩く前に、私の歯や爪で本気であなたを傷つけることができたのに、そうしなかったことを思い出してください。
- 私が言うことを聞かない時も、私が悪いのではないかもしれません。何か問題があるかもしれません。
- 私が年を取っても、どうか最後まで面倒を見てください。
- 私が苦しい時、最後の旅立ちを見守ってください。苦しまずに逝けるようにしてほしいのです。そして、私が逝った後も忘れないでください。
この「犬の10戒」を心に留めて、ワンちゃんを迎える責任の大きさを改めて理解し、慎重な判断ができるようにしましょう。
また、以下のような事情で犬を手放す例もありますので、あらかじめしっかりと準備しましょう。
- 転居先でペット禁止の物件しか見つからなかった場合:引っ越しの際は、ペット可の物件をしっかりと探すことが重要です。
- 家族にアレルギーが発生した場合:アレルギーリスクを考慮し、事前に家族全員の健康を確認しておきましょう。
- 飼い主の健康上の理由で世話が難しくなった場合:自分の健康や生活状況の変化を見越し、サポート体制を整えることが必要です。
次の章からは、犬を飼うための準備や費用について具体的に説明していきます。
初めて犬を飼うための準備や費用
ワンちゃんを迎えるにあたり、住環境の整備や必要なグッズの用意、費用の把握が重要です。ここでは、具体的な準備と費用の目安をまとめます。
犬を迎える前に準備しておくこと
ワンちゃんを迎える前に、家の環境を安全かつ快適に整えることが大切です。ワンちゃんは好奇心旺盛で、特に子犬の時期には様々なものを噛んだり、いたずらしたりすることがよくあります。以下の対策を行って、ワンちゃんとの生活をスムーズに始めましょう。
- 住環境の安全対策:電気コードや薬品類、危険な観葉植物など、誤飲や感電のリスクがあるものは、ワンちゃんの手(口)が届かない場所に片付けましょう。特に、床に置いているものや棚の下段にあるアイテムは、徹底して管理が必要です。
- 家具の保護:ワンちゃんは特に木製の家具の脚やタンスの角を噛んでしまうことがあります。事前にカバーを付けたり、噛み癖防止スプレーを使って、家具が損傷するのを防ぎましょう。これにより、ワンちゃんの健康も守ることができます。
- ワンちゃん専用スペースの確保:ワンちゃんが安心して過ごせるスペースを作ることが重要です。ケージやクレートを使って、落ち着いて休める場所を確保しておきましょう。専用スペースを持つことで、ワンちゃんは自分の居場所を理解し、安心感を得ることができます。
- 散歩や外出の準備:家の中だけでなく、外での生活にも備える必要があります。近所の散歩コースを事前に確認し、安全に散歩できる環境を整えておきましょう。ワンちゃんが外で楽しく活動できる環境作りも重要です。
- グッズの準備:必須のグッズについては、次節「犬を飼うために必要なグッズ」で詳しく説明します。
初めて犬を飼うために必要なグッズ
ワンちゃんを迎える際には、以下のグッズをしっかり準備しておくことが大切です。それぞれが、ワンちゃんの健康や快適な生活をサポートする必須アイテムです。
- フード:ワンちゃんの年齢、体重、健康状態に合ったフードを選びます。成長期には子犬用、成犬・老犬にはそれぞれに適したフードを準備しましょう。
- フードボウル:耐久性があり、清潔を保ちやすいステンレス製や陶器製のボウルが適しています。ワンちゃんのサイズに合ったものを選びましょう。
- リードと首輪:散歩や外出時に必須のアイテムです。成長に伴いサイズ調整ができるものが便利です。
- ケージ:ワンちゃんが休息できる安全なスペースとして用意します。ケージは寝床や休憩場所として使います。
- クレート:移動や旅行時の安全な場所として必須です。クレートはワンちゃんにとって安心できる場所としても機能します。
- サークル:ワンちゃんが室内で自由に動き回れるスペースを確保します。ケージと併用することで、休息と遊びのスペースを分けることができます。
- ドッグベッド:ケージやクレートの外でもリラックスできる場所として、柔らかいベッドを用意します。
- トイレ用品:トイレトレーニングに欠かせないアイテムです。吸収力が高いトイレシートやトイレトレイを準備し、習慣づけをサポートします。
- おもちゃ:ワンちゃんのストレス解消やしつけに役立つおもちゃです。噛んでも安全で誤飲の心配がないものを選びましょう。
- お手入れ用品:ワンちゃんの毛並みや爪、耳などをケアするために、ブラシや爪切り、シャンプーなどのお手入れ用品を揃えます。特に毛の手入れが必要な犬種には、質の高いブラシが必須です。
- 歯磨き用品:口腔ケアのために、歯磨きシートや犬用の歯ブラシ、歯磨きガムを用意します。ワンちゃんの健康維持に欠かせないアイテムです。
犬を飼うために必要な初期費用や維持費
ワンちゃんを迎える際には、最初にかかる初期費用と、その後継続的にかかる維持費(ランニングコスト)をしっかりと把握しておくことが重要です。ワンちゃんの生涯にかかる総費用は200万円~400万円程度とされています。ここでは、具体的な費用内訳を初期費用とランニングコストに分けて紹介します。
初期費用
- 子犬の購入費用:10万円~50万円
- ケージやベッド、トイレ用品などの初期用品費用:3万円〜10万円
- ケージ、ベッド、トイレシート、フードボウル、リードなど、生活必需品を揃えるための費用です。品質やデザインによっても変動します。
- 初期の医療費:1万〜5万円
- 初回のワクチン接種、健康診断、フィラリア予防薬やノミ・ダニ予防薬などの費用です。子犬の健康状態や必要な予防措置に応じて異なります。
維持費(ランニングコスト)
※アニコム損害保険株式会社/2023最新版 ペットにかける年間支出調査をもとに作成
ワンちゃんを飼うには、毎月や毎年かかる費用も考慮に入れておく必要があります。以下は、一般的なランニングコストの内訳です。
初心者におすすめの犬種
犬種を選ぶ際には、自分のライフスタイルに合った犬種を選ぶことがとても重要です。たとえば、活発に運動するのが好きな人には運動量の多い犬種が合いますし、散歩があまり好きでない方やアレルギーが気になる方には、室内で過ごしやすく、抜け毛が少ない犬種が適しています。
自分に合わない犬種を迎えてしまうと、飼い主もワンちゃんもストレスになる可能性があります。
ここでは、初心者でも比較的飼いやすい犬種をいくつか紹介します。ただし、「初心者でも飼いやすい」=「手間がかからない」というわけではないことを理解しておきましょう。
初心者向けでも飼いやすい人気の犬種
- トイプードル:定期的なトリミングは必要ですが、賢く、しつけがしやすい犬種です。
- シーズー:穏やかで、フレンドリーな性格が特徴。健康面でも比較的丈夫で、初心者にも扱いやすい犬種です。
抜け毛が少なくて飼いやすい犬種
- トイプードル:抜け毛が少なく、アレルギー対策にも効果的です。
- ビション・フリーゼ:抜け毛が少なく、トリミングが必要ですが、アレルギーが気になる家庭にも適しています。
無駄吠えが少なくて飼いやすい犬種
- シーズー:穏やかで、無駄吠えが少なく、初心者にも扱いやすい犬種です。
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル:穏やかで社交的、無駄吠えが少ない犬種です。
室内でも飼いやすい犬種
- チワワ:小型犬で運動量が少なく、室内飼いに向いています。
- マルチーズ:小型で運動量が少なく、室内飼いに適しています。
ワンちゃんを選ぶ際には、ライフスタイルに合った犬種を選ぶことが、飼い主とワンちゃん双方にとっての幸せな生活を作る第一歩です。
ここで紹介した犬種は、初心者にも飼いやすいとされるものですが、ワンちゃんにはそれぞれに個性があり、しつけやケアが必要です。自分の生活スタイルや住環境に合った犬種を見つけ、ワンちゃんとの生活を楽しくスタートさせましょう。
犬を飼うならどこで買う?
ワンちゃんを迎えるには、いくつかの選択肢があります。ここでは、ブリーダー、ペットショップ、動物愛護施設や里親募集からの譲渡について、それぞれのメリットと注意点を解説します。
ブリーダーから買う
メリット
- 子犬への身体的・心理的負担が少ない:信頼できるブリーダーは、親犬や兄弟犬と過ごす時間を十分に確保し、健康的かつ心理的に安定した環境で子犬を育てます。適切な社会化も行われているため、安心してワンちゃんを迎えることができます。
- 情報の透明性が高い:ブリーダーからは、親犬の健康状態や性格、繁殖に関する詳細な情報を直接確認できます。子犬の健康診断書やワクチン履歴も提供されるため、信頼性が高いです。
注意点
- 利便性が低い:ブリーダーの元へ見学に行く必要があり、購入プロセスが手軽ではありません。ワンちゃんの飼育環境を直接確認するための訪問は必須です。
- 信頼できるブリーダーを見分けるのが難しい:全てのブリーダーが適切な環境でワンちゃんを育てているわけではなく、営利優先のブリーダーを避けるには注意が必要です。見極めが難しいため、厳選された信頼できるサイトを選ぶことが重要です。
ペットショップで買う
メリット
- 利便性が高い:ペットショップは、いつでも訪れて子犬を直接確認でき、その場で購入可能です。ワンちゃんに必要なグッズも一緒に揃えられるため、準備が簡単です。
注意点
- 子犬への身体的・心理的負担が大きい:ペットショップでは、子犬が長時間狭いケージに入れられ、ストレスを感じやすい環境にあることが多いです。さらに、親犬や兄弟犬と早く引き離されるため、社会性の発達が十分でない場合があります。
- 情報の透明性が低いことがある:親犬の健康状態や育った環境に関する情報が不十分なことが多く、子犬の健康や性格に関する不安が残る場合があります。
動物愛護施設や里親募集から引き取る
メリット
- 行き場のない命を救える:動物愛護施設や里親募集から迎えることで、保護されたワンちゃんの新たな生活を支援できます。命を救うという社会的な貢献も感じられます。
- トライアルで相性を確認できる:一部の施設や里親募集では、トライアル期間が設けられており、ワンちゃんとの相性を確認してから正式にお迎えできるため安心です。
注意点
- お迎えの条件が厳しい場合がある:愛護団体や里親募集では、譲渡条件が厳しく、環境や生活スタイルが適しているかどうか、慎重に審査されることが多いです。
- 情報の透明性が低いこともある:保護されたワンちゃんの過去や健康状態の詳細が分からないことが多く、特に成犬の場合はしつけや健康管理に配慮が必要です。
- 子犬と出会えることは少ない:保護施設では成犬が多く、子犬と出会える機会が少ないため、子犬を希望する場合は選択肢が限られます。
犬を飼ったらやること、考えること
ワンちゃんを迎えた最初の1年は、健康管理やしつけ、社会化にとって非常に重要な時期です。ここでは、時系列に沿って具体的にやるべきことを説明します。
迎えた直後(最初の1週間)
- 住環境の整備:ワンちゃんが安心して過ごせるスペースを確保し、ケージやトイレ用品、おもちゃなどを整えます。
- マイクロチップ装着・登録情報の更新:ワンちゃんを迷子にさせないため、マイクロチップを装着し、飼い主として登録します。
- 初めての健康診断:ワンちゃんを迎えたらすぐに動物病院で健康診断を受けさせましょう。獣医師に今後のワクチンスケジュールやケア方法を相談します。
生後2~4ヶ月
- ワクチン接種開始:狂犬病や混合ワクチンの接種を開始します。混合ワクチンは通常、2回または3回に分けて接種されます。
- 2ヶ月目:最初の混合ワクチン接種
- 3ヶ月目:2回目の混合ワクチン接種
- 4ヶ月目:狂犬病ワクチン接種
- フィラリア予防薬の投与開始:フィラリア予防薬を月に1回投与します。これを続けることで、フィラリア感染を防ぎます。
- 社会化としつけの開始:他の犬や人、さまざまな環境に慣れさせる社会化を進めましょう。この時期の社会化がワンちゃんの性格形成に大きく影響します。トイレトレーニング:この時期にトイレトレーニングを始め、成功体験を積ませます。
生後6ヶ月
- 避妊・去勢手術を検討:避妊・去勢手術のタイミングを獣医師と相談します。一般的には生後6ヶ月頃が推奨されています。
- しつけの強化:基本的なコマンド(「おすわり」「待て」「来い」など)のトレーニングを強化します。短時間の訓練を繰り返し、楽しみながらしつけを行います。
生後9ヶ月
- 追加の健康診断:成長に合わせた健康診断を行い、歯や関節、体重の発達をチェックします。ワクチンスケジュールも確認し、フィラリア予防やノミ・ダニ対策も継続しましょう。
生後12ヶ月
- 1年目のワクチンブースター接種:最初の1年を通して行ってきたワクチンのブースター接種を行い、免疫を強化します。
- フィラリア予防薬の継続:月に1回のフィラリア予防薬の投与を1年間通して続けます。フィラリアの感染リスクがある地域では特に重要です。
- 避妊・去勢後のケア確認:避妊・去勢手術を行った場合、術後のケアがしっかりできているか確認し、ワンちゃんの健康状態を維持します。
最初の1年はやることが多くて大変かもしれませんが、健康管理や社会化、しつけを適切に行うことで、ワンちゃんとの豊かな生活を送ることができます。
まとめ
犬を家族に迎えることは、多くの喜びをもたらしてくれる素晴らしい経験ですが、その分責任も大きいです。この記事で紹介した「犬の10戒」や、準備するべきもの、費用、最初の1年でやるべきことをしっかりと頭に入れておくことで、ワンちゃんとの生活をより楽しく、ストレスの少ないものにできます。
犬種選びやワンちゃんを迎える際の場所選びも慎重に行い、自分のライフスタイルに合った選択をしてください。特に、信頼できるブリーダーや団体から迎えることが、ワンちゃんの幸せな一生を支える第一歩です。
ワンちゃんと共に過ごす長い時間を大切にし、健康で幸せな関係を築いていきましょう。最初の準備が万全であれば、あなたとワンちゃんの生活は素晴らしいものになるはずです。